年末年始になり、忘年会や新年会、はたまた春の歓送迎会まで飲み会が続きます。たびたび二日酔いで頭が痛い、吐き気で胸が悪い、胃が痛い、頭も体もだるいなどとなり、特にウイークデーの朝はつらいものです。そこで臨床内科専門医で消化器内視鏡専門医、漢方専門医でもある吉田裕彦医師に、「二日酔いを予防する方法」を聞いてみました。
アルコールの摂取量を抑える、分解能力を高める、胃の粘膜を守る
——まず、どうして二日酔いになるのでしょうか。
吉田医師:それはもう、飲みすぎです。自分にとって飲みすぎとはどのラインかと言うと、体内でアルコールが分解される能力以上に飲んだときに起こります。
アルコールは体内に入ると肝臓で分解されますが、その能力次第で分解しきれなかった場合、毒性が強いアセトアルデヒドという物質が血中をめぐります。このアセトアルデヒドが、吐き気や頭痛など二日酔いの症状をまねくのです。
また、アルコールには利尿作用があるので、飲みすぎた翌朝は脱水状態になりやすく、頭痛やめまいなどの症状を引き起こします。さらに、胃の粘膜を荒らすため、胃痛や胸焼け、吐き気などの不快な症状をまねきます。
——飲みすぎないよう心がけますが、つい飲みすぎることもあります。二日酔いを予防するポイントを教えてください。
吉田医師:まずはアルコールの摂取量を抑えることです。次に、アルコールの分解能力を高める、胃の粘膜が荒れないように対策をすることでしょう。具体的な策を次に挙げておきます。
(1)空腹で飲酒しない
空きっ腹でお酒を飲むと、胃腸でアルコールが急速に吸収され、胃腸や肝臓に負担がかかるため、アルコールの分解能力が低下します。そのため、吸収は早いが分解は遅いという状態になり、二日酔いをまねきます。
(2)お酒と同量の水を飲む
胃腸で吸収されたアルコールは血液にのって肝臓に運ばれます。お酒と同量程度の水をお酒とお酒の間に飲むと、アルコールの摂取量を抑えられると同時に、血液中のアルコール濃度の急激な上昇を防いで、肝臓への負担が軽くなります。
また、肝臓でアルコールを分解するには大量の水分が必要になります。そのため、水分補給をするとスムーズに分解が促されます。さらに、アルコールの利尿作用による脱水を防いで、二日酔いの症状である頭痛やめまいを起こしにくくします。
「水を飲むとお酒がまずくなるから飲みたくない」と言う人は多いのですが、お酒の量を飲みたいがゆえの勘違いでしょう。悪酔いしないためにも、水を飲む習慣をつけましょう。
(3)複数の種類のお酒を飲まない
いわゆる「ちゃんぽんをしない」ということです。ちゃんぽんをすると、味が変わって飲みやすくなり、飲んだ量がわからなくなって無意識のうちに飲む量が増え、二日酔いにつながります。参考まで、ちゃんぽんという行為が二日酔いをまねくのではなく、あくまで飲む量が増えるからだということを覚えておきましょう。
(4)アルコール度数の低いお酒から飲む
アルコール度数の高いお酒から飲むと、胃腸や肝臓に負担がかかるだけでなく、血液中のアルコール濃度が急激に高まって酔いやすくなります。ビールやサワーのようなアルコール度数が低めのお酒から飲み始めましょう。日本酒やワイン、焼酎、ウイスキーなどに替えるときは、飲むペースを落としてゆっくりと楽しみましょう。
また、水割りやお湯割りにしてアルコール濃度を薄めて飲む方が、二日酔い予防になります。ただし、ソーダ割りの場合、炭酸ガスは胃液の分泌を促進して胃の内壁にダメージを与えることがあるので、飲みすぎに気をつけましょう。
(5)チーズ、大豆製品、魚類、肉類などタンパク質のおかずを食べる
肝臓の細胞の再生を促進し、アルコールを分解するためには、タンパク質が欠かせません。チーズ、枝豆や豆腐などの大豆製品、刺し身などの魚類、焼き鳥などの肉類など、タンパク質のアテやフードを先に食べてから飲むのがベターですが、そうもいかない場合は、お酒とともに食べるようにしましょう。
(6)野菜や果物を食べる
アルコールを分解するためにはビタミン・ミネラルが必要です。お酒の量が増えるほどに必要になるので、先にサラダやフルーツを食べてから飲むか、ともに食べましょう。
(7)お酒と揚げもののセットはNG
揚げものや脂っこい食べものは脂肪分が多いため胃腸での消化吸収に時間がかかり、お酒とともに食べると胃腸と肝臓への負担が大きくなって二日酔いをまねきやすくなります。
(8)お酒と辛いもの、酸っぱいもののセットはNG
辛いものや酸っぱいものは、胃酸の分泌を高めて胃粘膜を荒らします。お酒とともに食べると胃腸への負担が大きくなるため、避けましょう。
(9)飲む前に漢方薬を飲む
漢方専門医の立場から紹介しておきますが、お酒を飲む前に、漢方薬を飲んで二日酔いを防ぐ方法もあります。「日ごろから胃腸が弱くて疲れやすい」「このごろ胃もたれがする」という人は『六君子湯(りっくんしとう)』を、また、「お酒を飲むと顔や足がむくみやすい」「二日酔いをしやすい」という人は『五苓散(ごれいさん)』を選ぶとよいでしょう。これらは市販もされています。
飲食前の空きっ腹のときや食間に飲んでください。飲食後に二日酔いや暴飲暴食が気になるときに服用してもかまいません。
——ありがとうございました。お酒の飲みかたやおつまみの選びかたを工夫するとともに、空きっ腹で飲まない、お酒と同じ量の水を飲む、フードを適切に選ぶなどを実践して、なんとか二日酔いにならないよう、楽しい飲み会シーズンを過ごしたいものです。
(取材・文 岩田なつき/ユンブル)
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情報元リンク: ウートピ
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