今年は9月20日が「敬老の日」。お年寄りを敬うおめでたい祝日であり、お年寄りにとって子供や孫からお祝いされるうれしい行事、と思っている人も多いのではないでしょうか。
ただ、元気で若々しい今の時代のシニアは、自身を高齢者とは思ってはおらず、「むしろ祝う側」と考えているという傾向も……。
このたびシニア女性誌の「ハルメク」を発行する株式会社ハルメクは、50~84歳の女性300人を対象に「孫と敬老の日に関する意識調査」をwebアンケートの形で実施。調査では、そもそも敬老の日がいつなのを「知っている」という人は約半数にとどまるという結果に。敬老の日が「楽しみ」という人も1割に満たないことが分かりました。
また、今年の敬老の日の予定について、自分たちの親をお祝いする人の割合が、自分が子供や孫にお祝いされるという人より多く、「自分はお祝いされるより、お祝いする側」という意識が強いことが明らかになりました。
約半数の人が「敬老の日」がいつかを知らない!
まず、今年の敬老の日がいつなのかを聞いてみると、「知っている」と回答した人は52.0%で、約半数の人が敬老の日がいつなのかを知らない、ということが分かりました。
次に、敬老の日を「楽しみにしているか」と聞いてみると、「楽しみ」(2.0%)、「まあ楽しみ」(7.0%)と、楽しみにしている人はわずか9.0%にとどまることが判明。
また、「敬老の日にお祝いをされたいと思うか」という質問では、「どちらともいえない」(41.7%)が最多で、次に「あまりお祝いされたくない」(22.0%)、「お祝いされたくない」(18.0%)と、4割の人がお祝いされることに消極的であるという結果に。お祝いをされたいと思っている人は全体の18.3%にとどまりました。
「お祝いされたくない」のはなぜ?
では、なぜ今のシニアが「お祝いされたくない」と思っているのでしょうか。「お祝いされたくない」と答えたシニア245人に調査した結果、最も多かった理由は「祝われる年齢ではないと思うから」(36.3%)で、次いで「老人扱いされているように感じるから」(27.8%)という意見が集まりました。なお、「祝われる年齢ではないと思うから」と回答した人を年代別で見てみると、60代が46.5%、70代でも21.7%と、60、70代でも自身がまだ現役という意識の人が多いことも分かりました。
これらの結果から、多数のシニアが自分のことをまだまだお年寄りだと感じていないという意識を持っていることが分かりました。なお、少数派ですが「コロナ感染が心配で直接の交流に抵抗があるから」(14.3%)という、コロナ禍の今ならではの意見もありました。
お祝いは「される」よりも「する」側に
そして、今年の敬老の日の過ごし方については、「何もしない」(65.0%)が他の回答に大差で最多という結果に。2番目に多かった回答は「自分が親(や親世代)をお祝いすること」(20.0%)で、次に「自分が子供や孫にお祝いされること」(13.0%)となり、お祝いされるよりもお祝いする側でいる予定の人が多いようです。ただ、中には「自分で自分のお祝いをすること」(7.7%)という回答も見られ、敬老の日は必ずしも誰かをお祝いしたり誰かにお祝いされたりするだけではないという側面があることも分かりました。
なお、「お祝いされたい」というシニアについても見てみると、「誰からお祝いされたいか」という質問では「孫」(76.4%)、「娘」(58.2%)、「息子」(54.5%)という順となり、多くの人が孫からのお祝いを喜んでいることが分かりました。
「自分自身をお祝いする」という新たな兆しも
これらの調査を受けて、「ハルメク 生きかた上手研究所」所長で、年間に約900人の50歳以上のシニア女性にインタビューしている梅津順江(うめづ・ゆきえ)さんが見解を述べました。
「敬老の日を楽しみにしている50~70代はたったの9%」という衝撃的な数字が出ました。「祝われる年齢ではない」「老人扱いされているように感じる」がその理由でした。
生きかた上手研究所内で、この結果を公表することに躊躇の声が挙がりました。具体的には「敬老の日そのものが形骸化しているとみえてしまうのではないか?」「この結果は敬老の日を楽しめていないというイメージが助長されてしまうのではないか?」という懸念です。
しかし、「敬老の日市場を再燃させるポテンシャルを秘めているのでは?」と見方を変えてみました。今回の結果は、50~70代女性が「自分たちはまだ元気な現役世代で若い」と自認していることの裏返しといえます。
そしてこの年代は、「自分の親世代を祝う」「孫からは祝われたい」という両側面が享受できることに気づいたのです。置かれている立場や役割によって祝ったり祝われたりできる素敵な日、という再定義をしたら活気づく市場が想像できます。
さらには敬老の日に「自分自身をお祝いする過ごし方に興味がある」と答えたこの世代の女性が22.7%いるという結果も出ました。「夫と外食や豪華な食事」「同世代の友人との旅行」に費やしたいという意見がありました。「自分たち自身をお祝いする日」という提案は、敬老の日市場の新たな兆し、と解釈したら行き過ぎになりますでしょうか。
【調査概要】
調査の方法:webアンケート方式
調査の対象:50~84歳の女性
有効回答数:300名
調査実施日:2021年7月30日~8月2日 ※一部の地域で緊急事態宣言下中に実施
調査主体:(株)ハルメクホールディングス 生きかた上手研究所
本記事の調査結果、専門家の見解の出典は「ハルメク 生きかた上手研究所調べ」です。
- コロナ禍で一変したシニア女性のニーズは? 37万部突破の『ハルメク』がやったこと
- 「安心しておばさんになってください」阿佐ヶ谷姉妹の“これから”と不安だった“あの頃”
- お祝いされるよりお祝いしたい! 変わる「敬老の日」の意味
- オーバー40にとってVIO脱毛は“最後のお祭り”【ジェーン・スー×堀井美香】
- 雑誌不況、コロナ禍もなんのその…37万部突破の『ハルメク』部数倍増の理由
- 「年を重ねるってそれだけで楽しい」矢田亜希子がいつも楽しそうな理由
情報元リンク: ウートピ
お祝いされるよりお祝いしたい! 変わる「敬老の日」の意味