ド派手な装飾のハイヒールに、大胆なポージングのセルフィが並ぶ、「八木さま」こと八木恵利子さんのInstagram。世界中の高級ブランドを着こなし、デザイナーからも支持を受けています。この美脚の持ち主である八木さんは、今年62歳。
SNSでの発信だけでなく、自身の日々のファッションを記録したフリーペーパー「YB」を8年前から発行。一風変わったクリエイティブが話題となり、米国版「VOGUE」でも紹介されるなど、海外のセレブリティにも広く知られるようになりました。
連載第3回は、八木さんに「自分の魅力を見つけるコツ」について伺います。
<1回目は…>40歳でロックTシャツを着るのって痛いの?
<2回目は…>62歳インスタグラマーの運命を変えた自己発信術
Contents
「私のほうがキレイかも…」ある日気づいた自分の魅力
——八木さんの写真は、脚をアピールしたものが多いですよね。
もともと、自分の脚に自信なんて持っていなかったんです。わたしよりスタイルがいい人、たくさんいるし。でも、ある日ミニスカートを試着して、モデルのポージングを真似て写真を撮ってみたら「……あれ、これ私のほうがキレイかも」って、思えちゃったの(笑)!
——たまたま履いてみたミニスカートが、魅力の発見につながったんですね。確かに、最初から「私は脚が太いから」と諦めるのではなく、自分のいいところ、魅力的に見える部分はどこかな? って探ったり研究したりするのは大事ですね。
そう。みんな遠慮しないで、試着でもいいからいろんな服を着てみたらいいんですよ。買う、買わないは別としてね。お店でも、数枚試着して「もういいです」って人が多いらしいんですよ。わたしは何枚でも試着しちゃいますね。数時間かかることもあります。
他人からすすめられたものは全部着る
——たくさんのブランドでお買い物をしている八木さんですが、試着では何を重視しているんですか?
気に入らなくても、人にすすめられたものは、すべて着ます。他人は自分と違う視点だから。自分が好きな服だけを着ていたら、どんどん思考が狭まっちゃうでしょう。他人からのオススメって、似合わないものを知るチャンスでもあるからね。店員さんとのコミュニケーションは大事ですよ。
——似合わなくても、がっかりする必要はないんですね。通販で済ませてしまうことも増えましたが、店舗で接客してもらうのも大切ですね。
店員さんが自分を知ってくれれば、お直しもさせてもらえるし。わたしは、体型に合わせてほとんどの服をお直ししています。ベストの状態で仕立ててもらえる。
——八木さんのトレードマークのミニスカートも、裾をお直ししているんですか?
自分の特徴が活かせるから、どんどん丈が短くなっちゃった(笑)。スタイルがいい人なんて、いっぱいいるでしょう? その中で、自分の個性を出さなきゃいけないと思って。ロングをミニしちゃうこともありますよ。
——自分が似合うものをわかっているからこそなんですね。
デザイナーは「きみは本当にすごいことをするね」って言ってくれたりするんですよ。
「世界一のアマチュアになりたいの」
——八木さんは、好きなことに前のめりですよね。その原動力は?
海外では、よく「クリエイティブ&ユニーク」って言ってもらえるんです。日本では「なんだあの派手な女」って言われてた時期にね(笑)。今いる場所で受け入れられなくても、世界のどこかには評価してくれる人がいる。わたし、世界一のアマチュアになりたいの。
——世界一のアマチュア?
コーディネートや発信を、「プロレベルだよ!」って言ってくれる人もいれるけど、世界一のプロにはなれないでしょう。でも、世界一のアマチュアならなれる。ここまでやって、アマチュアで通す人なんていないから。
——プロとアマチュアの違いはどこにあると思いますか?
「好きだから」その道のプロになるのって、違うと思うんです。好きなことを仕事にしたら、好きじゃなくなっちゃう。販売員だって、売り上げのためには、似合っていない顧客でも褒めなきゃいけないでしょう? 好きな人だけ相手にしてたら商売にならないですから。好きを追求することは、トッププロと同じくらい厳しい。
——確かに、好きを仕事にするのは、しんどいこともあります。
わたしも会社を経営しているけど、好きでもないことを仕事にしているんですよ。でも、服については「自分が好きかどうか」を第一に考えます。好きではないブランドから招待をいただくこともありますよ。でも、自分が買っていないブランドのイベントには行かない。
——徹底していますね。
あ! でも一回、欲が出ちゃったことあるわ! 世界展開しているカジュアルブランドから、プロモーションビデオの出演依頼がきたの。買ったことないのに迷っちゃって「わたし、意外と欲深いな。有名になりたいんだな」って気がついちゃった(笑)。ちゃんと断ったけど。
——欲(笑)。人間だもの、それはしょうがないですよね。
自分には嘘をつかないのが、一番ですね。自分自身に正直に生きなきゃ。メディアから出演依頼をいただくようにもなったけど、「素のわたしのままで出られるところ」だけでオファーを受けています。服も発言もね。それなら、結果としてどこを切り取られても、自分の言葉だから別にいいの。
やりたいことが浮かばなければ、なにもやらなくてもいい
——やりたいことや好きなことが見つからなくて、なんとなくモヤモヤしてしまうこともあります。何かアドバイスをください。
無理して何かしようとしなくてもいいし、だらだらしててもいい。いつ自分がハマれるものがくるかわからないしね。焦らないでじっくり構えていればいいんですよ。やりたいことなければ、なにもやらなきゃいいんですよ。明日死んじゃうかもしれないしさ。
——立ち止まってもいい、と。
みんなの流れにのらなくてもいいんです。でも、「みんなと同じものが欲しい」とか「周囲を気にする」とって、悪くないと思いますよ。日本人はみんな列からはみださないから、暴動もあんまり起きないんだしさ。
みんな、いろんなことを考えすぎなのかな。わたしは「夜ぜんぜん眠れないんだけど」って相談されたら、「寝ないで会社行けばいいんじゃない?」って答えちゃうタイプなの(笑)。
人間も動物だって思ってみればいいの。ずーっと規則正しく動いている動物なんて、なかなかいないですよ。のんびりしてみてもいいんじゃないかな。
(取材・文:小沢あや、写真:宇高尚弘/HEADS)
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情報元リンク: ウートピ
あれ、私キレイかも…? 62歳美脚インスタグラマーに聞く“自分のいいところ”の見つけ方