『ドクターX ~外科医・大門未知子~』やNHK大河ドラマ『西郷どん』など数々のヒットドラマの脚本を手掛け、今期には『ハケンの品格』の13年ぶりの続編が放送される脚本家の中園ミホさんが4月に新刊『占いで強運をつかむ』(マガジンハウス)を上梓しました。
28歳で脚本家デビューするまで占い師だったという中園さんがいかに占いを味方につけ、人生に生かしてきたかについてつづられています。
NHKの朝ドラも大ヒットしたあの“月9”も「空亡期」(算命学では「天中殺」と呼ばれる運気が停滞する時期)に書かれたという中園さんに、占いとの付き合い方やうまくいかない時期の過ごし方について伺いました。
「自分に都合良く」占いとの付き合い方
——28歳で脚本家デビューする前は占い師だったそうですね。脚本家になってからもドラマの出演者の運気を占ったり、スタッフとの相性をチェックしたりと自分のために占っているということですが、今回占いをテーマにしたど直球の『占いで強運をつかむ』を執筆された経緯を教えてください。
中園ミホさん(以下、中園):本にも「お金持ちから財布をもらうと金運がアップする」と書いたのですが、林真理子さんとマガジンハウスの方と一緒にいる時に「私はいつも他人の財布を観察している。誰よりも財布を見ている」という話をしたら「占いの本を出したら?」と勧められたんです。その時は連続ドラマの仕事も入っていてバタバタしていたんですが、正式にマガジンハウスの担当者からお声掛けいただいて執筆することになりました。
一口に「占い」と言ってもいろいろで恐ろしい占いもあるじゃないですか。脅したり、自信をうばったりして暗い気持ちにさせるような占いなら、なくてもいいとさえ思っています。あくまで占いは、幸せになるために使って欲しいのです。
私もさんざん占いに振り回されてきたというのもあって、もうちょっとゆるく暮らしの中に取り入れてうまく使えばいいのにとずっと思っていたんです。自分自身が占い師ではありますが、占いは盲信するものではないと考えています。
占いによって行動を制限されるのではなく、本の中でもさんざん自分のことを“怠け者” “ぐーたら”と言っていますが、そういう人でも占いから人生の踏ん張りどきを知り、「この時期は頑張ってみるか」と自分のテンションを上げたり、元気づけるために使ったりしたほうがいいんじゃないかなと。そんなことをみんなに伝えられたらいいなあと思って書きました。
——占いをゆるく使うっていいですね。やっぱり「占い」と言うだけで警戒する人もいます。確かに、大金をつぎ込んじゃったり、依存しちゃったりする人もいるから警戒する気持ちも分かるのですが……中園さんが考える、占いの上手な付き合い方ってどんな付き合い方ですか?
中園:一言で言えば、自分に都合良くってことかな。占いに励まされることもあるじゃないですか。私は「しいたけ.」さんのしいたけ占いも好きだし、ほかの占い師さんの占いもいろいろ見ます。
調子が良くないときやイマイチだなってときは「まあ、今は調子が良くない時期だから過ぎるのを待つか」と思うんです。自分で自分のことを占ったりして、悪い結果が出ると一度は落ち込むんだけど、ほかの占いも調べていい結果が出るまでやるんです(笑)。そのくらいゆるく付き合えば楽しいと思います。
うまくいかない時期の過ごし方は?
——中園さんの占いは、四柱推命と気学をベースにした独自の数気学ということですが、2012年に放送されたNHK連続テレビ小説『花子とアン』や2000年に放送され、最高視聴率34.2%を記録した“月9”の『やまとなでしこ』は12年周期の中でも凶運期と言われる「空亡期」に書かれた作品だそうですね。
中園:空亡のときは誰にとっても一番厄介な試練が降りかかってくるんですね。私は怠け者でぐーたらなので、ハードに働くのが一番苦手なんですが、「逢魔」と「空亡」の2年間に大変な仕事が巡ってきます。この時期は「大変でも一生懸命働け」ということなのかなと解釈して、ほかの占い師さんに背中を押してもらいながら、頑張って執筆しました。
特に、朝ドラは肉体的にも精神的にもつらくて……。毎日コツコツたくさん書くのが私にとって一番苦手なのですが、それでも朝ドラを書いたおかげでいろいろなことが変わりました。自分の嫌いだった部分も頑張ったことで好きになれたし、空亡って運気が悪いだけではなく人生の修行の時期なんだなと改めて思いました。
言い換えれば、空亡期を恐れることなく、現実から逃げないで自分の苦手なことに向き合えば必ず次のステージにいけるし、その時にはまだ見たことない景色が見られるのです。
中には、「凶運期は何もしてはいけない」と言う占い師さんもいらっしゃいますが、苦手なことを成長するための人生の宿題と捉えて、一生懸命歯を食いしばって頑張れば必ず次がある。そんなふうに占いを使ってほしいなと思います。
それに、ずーっと運気の悪い人なんていないですから。必ず抜ける日がくる。私も人生で空亡を5回くらい繰り返したからこそだんだん分かってきたこともあります。すごくつらいことが横殴りの雨のように降りかかってくることってあるけれど、「今は耐えて頑張る時期なんだな。あと1年たてば抜けられる」とつらくても前を向いて乗り越えてほしい。どん底は誰にでも来るけれど、底をつけば上がっていくだけだですから。
——そんなふうに考えると楽になります。悪いことやつらいことがあると「自分のせい」って思っちゃう人も多いと思うので。
中園:占いは、何か悪いことが起こっても前向きな気持ちにしてくれるセラピー的なものであり、悩んでいるときに問題に立ち向かう元気をくれたりするものであるべきだと思っています。
今は新型コロナの感染拡大で大変な世の中になっちゃって、先が見えなくてつらい思いをしている人もたくさんいると思います。私自身もフリーランスですし、派遣社員の知り合いやお友達もいるので、すごく心配なのですが、大変なことはずっと続くわけではないから、ここを踏ん張れば必ずいいことが待っていると信じています。
——空亡期は自分にとっての宿題が課される時期ということですが、自分の課題って分かるものなのでしょうか?
中園:空亡の時期は、その人にとって一番苦手なことが起こります。例えば、都会が苦手な人が急に都会に転勤になったり、逆に、都会にいると生き生きする星の人がやむを得ない事情で田舎に引っ越すことになったりね。
その人にとって一番苦手なことが降りかかってくることが多いんですけれど、ジタバタもがくことが厄落としにもなって、空亡期の過ごし方がこれからの12年間の運気の流れを決める大切な時期なのです。だいたい空亡期に入る前の半年くらい前から変化が起こってきますね。
人間関係に悩んだら…楽しそうな人のそばに行ってみる
——友達の話や読者の悩みを聞いていると、だいたいが人間関係の悩みです。中園さん流の人付き合いのコツはありますか?
中園:自分が調子が出ないなとか、やる気が出ないなとかドヨーンとするときってありますよね。そういうときは、私は楽しそうな人のそばに行きます。会社の中でも「あの人ってどうしていつも楽しそうなの?」という人のそばにいって、良い運気を浴びてみる。そうすると、真似までいかなくてもうまくいっている人の行動や考え方に気付くことがたくさんあるんですよね。
周りにそういう人がいなかったら、「この人の生き方、すてきだな」と思う人の講演会やライブに出掛けるのもいいですし、本を読んだり、オンラインで動画を見てもいいです。そういう人の運気をシャワーのように浴びることで、自分も変われると思うし、運気を変えられる。
逆に、自分のことを不運だと思っている人は世の中も呪っているし、自分の生まれた運命さえも呪ってしまって、悪いものをどんどん引き寄せてしまうので、そういう人のそばにはなるべく近づかない。そういう人から悪口を聞くのもしんどいじゃないですか。
——しんどいですね。「この人、ネガティブなオーラを出しているな」という自分の勘を信用してもいいのでしょうか? なかなか信じられないというかそんな勘に頼ってもいいのかなと思ってしまうんです。「あの人と話すと疲れるんだけど、そんなことを思っちゃうのは失礼かな。私の気分の問題かな」って思ってしまいます。
中園:自分の勘が一番大事です。「この人と会うとなぜか嫌な気持ちになるな」とか「別れた後にどっと疲れるな」「せっかくおいしいものを食べてもどよんとしちゃうな」という人とは、その時は離れちゃっていいと思います。
今はコロナ禍で「ソーシャルディスタンシング(社会的距離の確保)」と言われていますが、これからは人間関係も断捨離していく流れになると思います。よくよく考えるとどうしても会いたい人ってすごく少なかったなと気付く。悪い言い方になってしまうかもしれませんが、人間関係の断捨離というか、自分にとっての大事な人を見極めるいい機会なのかもしれないですね。
※インタビューは2020年4月下旬に実施。
(聞き手:ウートピ編集部・堀池沙知子)
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情報元リンク: ウートピ
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