「理系の女性を増やしたい」そんな社会の流れが強まりつつありますが、現実には「リケジョ」の存在はまだまだ少数派です。
本日17時に放送されるAbemaTV「Wの悲喜劇 〜日本一過激なオンナのニュース〜」では、「リケジョが世界を救う!」と題して、理系女性の世界にMCのSHELLYさんが迫ります。
今回は、前編に引き続き、番組に「極ガール」として出演した植物生理生態学者の田邉優貴子さん(40歳)に話を聞きました。国立極地研究所(東京・立川)に所属し、南極・北極への渡航歴は計14回に上ります。
彼女が極限の地で見てきた生命の神秘、生きる意味とは?
「世界初の発見者」になれるかもしれないというワクワク
──植物生理生態学者というのは、どういうことを研究する人なのですか?
田邊優貴子さん(以下、田邊):主に植物を対象に極地の湖の生態系を研究しています。極地に行った時にやるのは、動植物や土壌のサンプルを採取することです。それを日本に持ち帰って、分析します。日本にいる間は研究所に籠って分析作業とデータ解析に明け暮れています。
──極地を研究の対象にすることの魅力は?
田邊:南極を例にとると、あそこはこれまでに人が文明を持って暮らしたことがなく、生態研究の見地から見ても全く手付かずの場所です。つまり、自分が何かの世界最初の発見者になる事ができるということ。それが一番ワクワクするところですね。
一例を挙げると、南境観測隊の一員として2度目に南極に渡った時、昭和基地近くの湖に潜ってそこに豊かな生命の営みがあるのを発見しました。藻やバクテリアが長い時間かけて湖底に築き上げた円錐形の塊が林のようになったようなものでしたが、それまでは不毛の地と信じられていた場所だったので、貴重な発見であるとして高い評価をいただきました。
それから、まるで30億年前の地球の姿をリアルに覗くことができることです。地球上で初めて酸素を発生する光合成をした生き物だと言われているシアノバクテリアという微生物がいるのですが、南極の内陸部にある湖にはこれが30億年前と似た状態で存在している場所があります。そんな場所は地球上で南極しかないと思います。
隊員80人中女性は10人くらい
──ロマンがありますね。極地ではどのような生活になるのでしょう?
田邊:まず隊員の構成で言うと、圧倒的に男性が多くて、女性は少数派です。日本の観測隊は大体80人くらいで行われますが、そのうち女性は10人くらい。昭和基地を離れて遠征に出るときはスノーモービルや雪上車を自分で運転して氷の上を行きます。事故を起こしても、遭難しても全て自己責任ですから、ある程度メカにも詳しくならなくてはなりません。
遠征先ではテントや小屋暮らしになります。お風呂はもちろん、水道もありません。水は氷を溶かしたものや湖水を使います。トイレは専用のテントが張られ、そこで用を足しますが、環境に影響を与えないように、排泄物は全て持ち帰るというのが決まりになっています。大の方は黒い袋に入れます。小の方はピーボトルという容器に入れます。ロマンとは程遠いですね(笑)。寝るときはマイナス40℃まで対応の寝袋を使います。
──あっという間に俗世間のことを忘れてしまいそうです。
田邉:昭和基地を離れると、インターネットもありませんから、最初にうちは社会の流れに後れをとってしまうのではないかと不安になります。が、キャンプで1週間も過ごすと、どうでもよくなってしまうんです。それで、2カ月後とかに戻ってくると、意外と何も変わっていないことに気づきます。
「生殖できる期間」も大事だけど、心震えるものを探して
──それは生態学とはまた別の哲学的な発見ですね。
田邊:生命や時間についていろいろと考えさられるという意味では、私の研究していることはまさに哲学的です。「地衣類」という菌類と藻類が共生した生物は1センチメートル成長するのに1万年の月日がかかるんです。そういうものを前にすると、我々が寿命とか言っているものは何なんだろうって考えてしまいますよね。
私は遺伝性の難病である脊髄小脳変性症という、発病すると次第に運動機能が衰えていく病気のリスクを抱えて生きていますが、極地でペンギンにせよアザラシにせよ、もっと原始的な藻類や菌類にせよ、生命の連続が粛々と繰り替えされている、そのただ中に身を置いて、自分もその一部に過ぎないんだと感じ、スッと腑に落ちたことがありました。
──同世代の悩める女性たちにどんなメッセージを送りますか?
田邊:何歳までに結婚として、何歳で子供を産んでと言ったプランに縛られて苦しむ人がいるようですね。女性は繁殖できる期間が限られているから、そういうふうになってしまうのもある程度しかたがないのですが、まずは何が自分にとって重要か、何を面白いと感じるか、自分の心が震えるものは何か、を自分に問うて欲しいです。何を選ぶにせよ、本物じゃないと、続かないですから。
(浮田泰幸)
■番組情報
男子は見なくて結構!男子禁制・日本一過激なオンナのニュース番組がこの「Wの悲喜劇」。さまざまな体験をしたオンナたちを都内某所の「とある部屋」に呼び、MC・SHELLYとさまざまなゲストたちが毎回毎回「その時どうしたのか?オンナたちのリアルな行動とその本音」を徹底的に聴きだします。
#60「リケジョが地球を救う!」
視聴予約(本日17:00〜)
視聴予約(本日26:00〜)
- 南極・北極に14回渡った「極ガール」 すべてを肯定できる光景に出会って
- セックスレスや不妊は男性のオナニーが原因かも? 女も知るべき「男の性教育」
- 今の20代はフェミニストに憧れる【小島慶子のパイな人生】
- 「子宮を温めると妊娠しやすい」はウソ 出産・育児に関する都市伝説を暴く
- 【リケジョの生き方】「生殖できる期間」も大事だけど、心震えるものを探して
- 体のコンプレックスに「そのままでいいじゃん」って言われても…
情報元リンク: ウートピ
【リケジョの生き方】「生殖できる期間」も大事だけど、心震えるものを探して