同僚を気遣い、地味な仕事をこなし、上司のサポートもちゃんとして……どうして自分ばっかり我慢しなきゃいけないの?もっと自由に生きられたらラクなのに……と心がざわついてしまうのは、「デキる人」にほど多いかもしれません。
『マッキンゼーで学んだ感情コントロールの技術』(青春出版社)の著者で人材コンサルタントの大嶋祥誉(おおしま・さちよ)さんに、心がざわついたときに試したい方法を教えていただきました。全5回シリーズの最終回です。
他人のわがままにイラッとしたら試して
——最終回となる今回も、前回に引き続き、感情コントロールのコツを教えてください。
大嶋:第3回で「トリガーポイント」の話をしましたが、人間が嫌だな、不快だなと感じるとき、そこには必ず「トリガーポイント」があります。怒りなど負の感情を誘発させる引き金のことですが、これを知ることで感情コントロールはぐんとやりやすくなります。
人は自分の常識とはずれたことに対して怒りや嫌悪感を覚えますが、それは主観であることもしばしば。主観で物事を捉えると、感情は揺らぎやすくなります。
——たしかに、自分は気を使っていても、他人はまったく気にせず行動しているケースは多々ありますよね。でも私は気を使っているのに、がまんしているのにと、勝手に怒ってしまう。
大嶋:そうそう、感情コントロールが苦手な人の「あるある」です。わがままを言ってはいけないという価値観で生きてきた人は、わがままな人に腹を立てやすい。
自分のトリガーポイントを見つける判断シート
大嶋:負の感情を抱きやすいポイントを知っておけば、「ああ、トリガーポイントにひっかかったからだ」と冷静に判断できるようになります。有効な方法が、書き出して視覚化すること。書き出すことで、自分の感情を対象化でき、客観的に分析できるようになります。
ビリーフシステム&トリガーポイント判断シート
1)この世の中で大切なのは_______だ
2)人間関係で大切なのは_______だ
3)生きていくうえで大切なのは________だ
4)一番やってはいけないのは_______することだ
5)一番恥ずかしいのは_______することだ
6)人生で価値あるものは_______だ
7)一番許せないのは_______する人間だ
意外な盲点は「体調管理」
——最後に、感情コントロールにおいて、もっとも重要なことはなんでしょうか。
大嶋:体調管理です。最後に「え、そこ?」と思う人もいるかもしれませんが、何よりも優先すべきことは「心身のコンディションを整える」ことです。これは当たり前すぎるのに、ビジネスパーソンの大半が実践できていない盲点。経験上、睡眠不足だと、次の日は体も感情も不安定になりがち。目が覚めた途端に、心がざわざわし出します。そうして、不安や焦燥感が起こると、そこに理由づけが始まります。単純に寝不足で疲れているだけなのに、無駄な感情の追及を始めてしまうので、仕事の生産性は下がります。
しかし、早く寝ると、次の日に無駄なことを考えず、すーっと物事が進んできます。いい感じで1日を過ごせるので、夕方になると満足感を得られ、「今日1日がんばったな、早く帰って寝よう」とプラスのサイクルになっていきます。
——感情を上手にコントロールするための第一の条件は、体を休ませること。これはすぐに実行できるコツですね。
大嶋:はい。まずは健康第一です。私はクライアントの方々に、怒りや不安などネガティブな感情が出てきたら、誰かから感染したか、体が疲れているサインだから、早く家に帰って寝たほうがいいとアドバイスします。感情に理由づけすることなく、お風呂に入って、十分な睡眠をとれば、リラックスできて無駄な感情に振り回されることはぐんと減るはずです。
(取材・文:塚本佳子、撮影:面川雄大)
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情報元リンク: ウートピ
「自分ばっかり我慢してる」 心がざわついたら試したい7つの判断リスト