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「私ばかり頑張ってる」が口癖の人が身に付けたいアピールの方法

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「昼スナブーム」の火付け役としても知られている木下紫乃さんによる『45歳からの「やりたくないこと」をやめる勇気』(日経BP)が2020年11月に発売されました。

2016年に「40代、50代のミドルシニア向けキャリア支援」を掲げて「ヒキダシ」という会社を設立。会社以外の場所で気軽に本音で話せる場所が必要との思いから、昼間だけのスナックをオープンした“紫乃ママ”こと木下さん。

同書には、「自分の存在価値が見いだせない女性」や「アピール下手でつい被害者意識にとらわれてしまう真面目な女性」「出世コースから外れて呆然(ぼうぜん)とする女性」などさまざまな悩みを抱える女性が登場。そんな彼女たちに「どこに出しても恥ずかしい人生でいい」と言い切る“紫乃ママ”にお話を伺いました。全3回。

【前回】「いい年だからちゃんとしなきゃ」はちょっとしんどい

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事実を小まめに淡々と報告する

——本では“働く人あるある”のお悩みが満載ですが、中でも「『被害妄想倶楽部』からの脱却を」が「分かる!」と思いました。「チームのために私ばかり頑張っている」とか「こんなにやっているのに誰も評価してくれない」とか。私もつい最近までそうだったなあと身につまされました。

木下紫乃さん(以下、紫乃ママ):被害妄想倶楽部ね。「縁の下の力持ちの私なのに誰も評価してくれない」みたいな。縁の下だからそもそも見えないんですよ。アピールの仕方のうまさ、下手さもあるんですよね。いつもアピールばかりだと「あいつ口だけだな」ってなっちゃうし。

——そうなんです!

紫乃ママ:アピールと言うと語弊があるけど、少なくとも自分がやったことはちゃんと伝えないと相手に分かってもらえない。皆が皆、自分の仕事を見てくれているわけではないので、そこはちゃんとクールに伝えたらいいんじゃないかと。だいたいの人はやったことをきちんと伝えないで、「あの人は私を見てくれない」とか言うんですよね。

——最近はテレワークも多いのでますます見えないですよね。それで「私を見てくれてない!」って言われても……。

紫乃ママ:なんて言うと「管理職ってそういうのを見る仕事でしょ?」って反論されるのですが、そんなすてきな管理職がどこにいるのよって思うし。そういう理想の上司は実際なかなかいない。そんなすてきな上司を待つよりも、自分から「これこれをやりました」ときちんと報告する。

もっと言うと「こういうふうにやったんですけど、何かアドバイスください」とかね。「やりました」だけではなくて「どう思われますか?」とフィードバックまでもらいにいくのがいいと思います。アピールしてるだけに見えないように、「こんなクオリティで良かったですか?」みたいに言ってみるとか。それが相手を自分のテーマに巻き込む秘訣なんです。

——ついドラマに出てきそうな「見えない部分をちゃんと見てくれている上司」に憧れるし、自身を振り返ってみると理想の上司像を上司に押し付けてしまっていたかもしれないです。そして「私を見てくれない」と文句を言っていました。勝手に期待して勝手に期待を裏切られて落ち込むみたいな……。

紫乃ママ:それ、旦那に勝手に期待して、勝手にがっかりするパターンに似てる。真面目な人ほど「きっと分かってくれてる」って勝手に期待する。少なくともやったことは分かってもらうようなコミュニケーションは自分からきちんと取らないと分かってもらえないと思ったほうがよいのです。

——やった事実を淡々と報告してフィードバックをもらうんですね。

紫乃ママ:そこで大事なのは決して感情的にならないこと。バンバン書類たたきつけながらだったり、ため息つきながらとかはNG。仕事で「イライラした面倒くさいやつ」と思われると誰からも対等に向き合ってもらえなくなるので。

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「何かあったら声かけて」はNGワード

——面倒くさいと言えば、本にあった「何かあったら声かけてください」はNGというのも共感しました。こういう言い方する人いますよね。でも言われたほうは「ただでさえ忙しいのに何で私があなたのために仕事を用意してあげないといけないの?」と。

紫乃ママ:これもよくある話ですね。特に私らの世代にはその言葉は禁句だから! って言ってます。相手も声をかけづらいし「何か」って何よ?(笑)。「この資料作りやろうか?」と具体的に言ってみる。そうすると「実はこっちじゃなくてあっちをやってほしいんです」という話になるかもしれないのでやっぱり具体的に言うのが大事ですね。40代や50代は、特に若いメンバーに話をするときに意識してほしいな。

——私も言っちゃいがちなのですが、ある意味楽なんですよね。相手が決めてくれるから。

紫乃ママ:それそれ、そうなんです。相手に選択権を渡しているから言うほうは楽。でも一応手伝う意志を表明しているから罪悪感は減る。でもこれ、厳しい言い方ですが責任放棄、免罪符なんですよね。相手が声を掛けなかったら「仕事を指示しないあなたが悪いんでしょ?」ってなるじゃないですか。

——そうなんですよ!「私は何かあったら声かけてって言ったのに指示されなかったんです」って。

紫乃ママ:相手からそういうふうに言われたときは遠慮せずどんどん仕事を振ったらいいと思います。「何かあったらと言われたので早速、お願いしていいですか?」って小さいこともどんどん振る。そうしたら相手も「ヤバい、仕事がどんどんきちゃう。やれることとやれないことをハッキリ伝えなきゃ」と危機感を持つと思います。

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ネガティブとポジティブ両方に目を向ける

——紫乃ママのお話を伺っていて、やっぱり相手と具体的なコミュニケーションを取ることが大事なんだなと思いました。被害妄想倶楽部もそうですが、結局一人で悪循環に陥ってしまって周囲と認識がどんどんズレていくこともあると思います。自分を客観視することも大事だと思うのですが……。

紫乃ママ:でも、なかなか自分で自分を客観視ってできないと思うので、これも他の人の力を借りるのが一番良いと思います。自分に対してフラットに「あなたは今こんな感じだよ」と言ってくれるような人を周りにたくさんはべらす。

自分の変化や癖、振る舞いを客観視して伝えてくれる、信頼できる仲間をちゃんと置いておくってことですね。「メンター」とも言いますが、定点観測をしてくれて「最近ずっとネガティブなこと言ってない?」とか「またその話してるね。すごく気になってるんだね」とかをちゃんと言ってくれる人。そういう関係性を持てる人を何人かつくっておくといいよね。自分に対して「こうだよ」って言ってくれる仲間、信頼できる人がいてペースメーカーになってもらえるといいですよね。

あとは、もちろん自分を客観視することも大事だけど、自分を巡る状況を俯瞰することも大事かもしれないですね。

——自分を巡る状況?

紫乃ママ:例えば今いる会社が嫌で転職したいって思ったときって、だいたい今の会社に対してネガティブな部分にだけフォーカスしちゃってるんですよね。でも人はどんな場所にいても、どこからでも学べると思うし、一度「この会社にいることで得られているものは何だろう?」と考えてみる視点も必要なんです。考えてみて「やっぱりそんなものはもうありません」と思ったら職場や場所を変えればいい。

でもネガティブなほうばかりに目がいってポジティブな面を見ないまま辞めたら「しんどくなったらネガティブなものしか見ない」っていう癖が改善されないままで、結局どこに行っても不満が出てきちゃう。

そうならないためにも、取りあえず満足している点と不満な点を両方出してみる癖は早めにつけたほうがいいんじゃないかと思います。今置かれている状況の中から得られるものは絶対にゼロではないと思うので。それが何につながっているかも含めて。

——そういう考えはなかったです。いつも不満ばかりだったから……。

紫乃ママ:私は欲張りなのかもしれないです。「なんで私、こんな仕事やってるんだろう?」と思ったときに「仕事はやりたいことじゃないけど一緒にやってる人は一緒にいて学べることが多い人たちだな」とかね。「このスキルが学べるのはやっぱりここにいるからだな」とか、今いる状況から一つでも得られることをまず考えます。それはお金だけじゃない。人とのつながりや、経験やなんやかや。「何を学べるか」、その種類が沢山ある人のほうがどんな状況でも得をすると思うんです。

——確かに私も損したくないって思います。せっかく転んだんだから何か拾って起き上がろうみたいな。

紫乃ママ:本当にそう。それって思考の癖づけなんです。私の場合、それが板についてきちゃった感じですね。

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※第2回は2月15日公開です。

(聞き手:ウートピ編集部・堀池沙知子)

情報元リンク: ウートピ
「私ばかり頑張ってる」が口癖の人が身に付けたいアピールの方法

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