お笑いコンビ「たんぽぽ」の川村エミコさんによる連載「今日も今日とて、もがいてます」。川村さんの日常に巻き起こる小さな出来事から、衝撃の事件(!?)まで。川村さんのユニークな視点で綴っていただきます。第6回のテーマは、無神経な人に遭遇したときの川村さんなりの対処法についてつづっていただきました。
無神経な人に出会ってしまったら
前回、比べられたら上下ではなくて左右にと言いましたが、さぁ、ここからは少し応用篇です。無自覚に攻撃的な人、無神経な人に出会ったらどう使うか考えてみようと思います。
5月の爽やかな風が吹く新緑の季節のある日。お仕事でご一緒した初対面の方2人と私での休憩時間にこんなことがありました。
話は、3月14日のホワイトデーに開催された、女性のみのフルマラソンの大会「名古屋ウィメンズマラソン」のことに。
Aさんが切り出しました。「川村さん、ウィメンズ走ったんですよね?」
川村「あぁ、そうなんです。知っていてくださりありがとうございます」
Aさん「私も走ったんです!! 今年で5回目です!」
川村「ええ!!すごいです。私なんかギリギリゴールで。」
Aさん「知ってます!」
川村「あ、あ、ありがとうございます。お互いお疲れさまです」笑顔で軽めにお辞儀。
そこへ入ってきたのがBさん。
Bさん「ええ!!! ええ!! Aさん、すごぉぉーーーい!! 子供二人いて(Aさんにはまだ小さいお子さんがいます)フルマラソン完走すごいです〜〜〜!!」
Aさん「えへへ」
Bさん「なかなか出来ないですよ。子供いたら! 家事やりながら、主婦仕事しながらフルマラソンはほんとほんとすごいです!!」
この後もBさんは続けます。「練習の時間作るの大変だったでしょ!?」「ええっ、仕事終わってから! ほんとすごいわ!!」「土日のみの練習で?」「尊敬ぃぃぃ〜〜!!」
BさんはAさんの方だけを見て褒めに褒めます。
ボディにパンチをくらってノックダウン
ううう。エミコ、ヤられました。ボディにドコッッドコッ!とパンチを入れられました。じんわりじんわりとノックダウン!!
「人間関係は上下でなく左右」を図形化でググググっと考える戦法が即座に使えませんでした。
うん。なんでしょうねぇ。悲しくなりましてね。気にしすぎですかね。この手の方の感じって伝わりづらいのですが。伝わりますかねぇ。
「結婚して子供がいてフルマラソン完走はすごい」というBさんの考え方なのでしょうけど。
私だったらこの状況で、目の前に2人フルマラソンを完走した人がいて、一人のみにひたすら「すごいね。すごいね」と言うかな。と考えまして。言わないよなぁ。と。
私はこの時、ただただうなずいて聞いていました。途中、Bさんの逸脱した高めのテンションにAさんは「川村さんも完走しましたよ」と一言挟んでくれましたが、Bさんには届かなかったです。
もちろんBさんから直接何か言われたわけではありません。むしろ何も言われてないです。時に無視が1番ヤられます。
「独身で子供がいない人がフルマラソン完走は時間を全部自分に費やせるんだから当たり前でしょ」とか言われてないです。
言われてないけど、言われてる気持ちになりました。別にこっちだって「走ったんだぜ!! 褒めてくれよ!」なんて思ってませんが。むくむくとネガチブエミコが生まれてきてしまいました。
叫んでスッキリ
Bさんにはっきりと「川村さんはすごくない」と言われたわけではないので、「受け取り方の問題」の範囲は出ませんが、私は思うのです。「無意識に暴力的な言葉を発言する人」はいるよなぁと。ましてやBさんはフルマラソンを走ったことがないです。
「そもそもお前さんが、どっちがどうで、どっちがどう! なんていうこと自体がおかしいじゃねーーーかい!!」
あースッキリしました。心の中で思いっきり叫びましたらスッキリしました。
少し間が空きましたが、つまり、Bさんが自身を上にして、Aさんと私を下に置き、A さんと川村の中に上下をつくることで、Bさんはさらなる優越感を味わっているのではないか。という「上下スタイル」がまさかの方向から飛んで来て即座に対応出来ませんでしたが、ぐぐぐっと左右に持っていくことに成功しました。
「すぐに言い返せないこと」や「ちゃんと伝えるにはエネルギーがいること」からダメージを受けないようにする。とっても大事かと思われます。
左右に持っていくときのテクニックその①
「そもそもお前はいったい何なのだぁ〜〜!!」戦法です。関係性を客観的に見れば、攻撃的に思える言葉だって実はそんなに大したパンチじゃなかったと気付けます。
「お前はいったい何なのだぁ〜〜!」をバカボンのパパの気持ちで言うと効果的です。バカボンが分からない方は赤塚不二夫さんの名作なので読んでみてください。
また、具体的にさささっ!と返せる言葉としては、もう何年も前からやっているのですが、「すぺぺぺぺぺ!」のギャグもおすすめです。こちら空気を変えるギャグになっております。心がモヤッとした時、すぐに言い返せなかった時、バス亭で待ってたのに、バスが素通りしてしまった時、テストで悪い点を取ってしまった時、猫の交尾をみていたら威嚇されたとき、etc…
「すぺぺぺぺ!」と大きい声で言ってみてください。「仕方ねぇ、次行ってみるか!」と少しだけかもしれませんが、気持ちを切り替えられます。ちなみにオフィシャルのやり方は、両手を伸ばし手を合わせる。右手を上にあげながら、「すぺぺぺぺ!」と言い、顔は天を見上げる。です。こっそりお部屋やお風呂でやるとスッキリします。
相談する人を見極める
あと用心したいのが、私と彼氏のことを「どっちが正しくて、どっちが悪い」とか言ってきて、挙げ句の果てに「別れた方がいいよ」とか言ってくる人です。
経験上ですが、彼のことでも、仕事のことでも何でも全否定してくる人は用心した方がいいなぁと思います。また逆もあり、全肯定の人も用心なのですが、それはまた別のお話です。話を戻しますと、「あなたになんの権限があるんじゃい!!」です。
心から思って言ってくれているのかもしれないですが、そういうことを言う人は気を付けた方がいいなぁと思っております。言ったとしても、最後は「2人が思い合ってたらいいと思う」と付け加えてくれる人が信用あるなぁと思います。
明らかにやばい彼なら話は別ですが。。。
もし相談するのなら、その人をちゃんと見極めた方が良きです。私の場合、相談しアドバイス通りにLINEの返信をしたこともありましたが、ことごとく当てはまらず、「自分の恋愛のパターンは自分でもがいて自分で見つけるしかない!」というところに行き着いたので、あまり誰かに相談はしませんが、恋は彼と自分自身でしていることなのでそこを大事にして欲しいです……。
相談相手のことを上、アドバイスを受けるほうが下と考えるのではなく、対等に、つまりは左右に位置付けして相談すると、思わぬ方向からの「別れた方がいいよ」アドバイスも「そっかそういう考えもあるなぁぁ」とそよ風にして浴びることが出来ます。
左右に持っていくためのテクニック②
相談相手も対等だと思い、「全否定して来る人」「結論を出してくる人」の言葉は真に受けすぎない。
決めるのはあくまで自分自身です。
日々が生きやすくなるアクション
自分自身をほんの少し客観視し、「人間関係を上下ではなく左右」にして考えるとほんの少しかもしれませんが、日々が生きやすくなります。「ふへへへ」と笑けてきたりします。
無意識に暴力的な発言をする人、無自覚な人にわかってもらおうと心を砕くと、こちらの心が砕けてしまいそうになることがあります。相手と分かり合おう、ちゃんと伝えようとするのはやっぱりそれなりにエネルギーが必要です。
元気がないときに無理をしたら、余計にダメージです。そりゃそうです。だからもしも、そういう人たちに出会って、すぐに言い返せなかったりしても、自分を責めちゃダメ!です。左右に置いてそよ風に変えちゃいましょう。
私もまだまだモガモガもがきながらの修行中です。「参ったなぁ」なんて言いながら、客観視しつつケタケタ笑って過ごせたらよいのですが、なかなか持って難しいです。
ただ今朝5時です。心を整える為にも今日も掃除から始めようかと思います。
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情報元リンク: ウートピ
「無意識に攻撃してくる人」に出くわしたら【川村エミコ】