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「恋愛のトラブル? いや、皆無です」オタク女子が4人で暮らしてみて思ったこと

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結婚の予定は特にないけれどひとりは何だか物足りないし、寂しいときもある——そんな女性にとって、夢のような暮らしをしている女性がいました。

『オタク女子が、4人で暮らしてみたら。』(幻冬舎)の著者である藤谷千明(ふじたに・ちあき)さんは、都内の一軒家をオタク友達とシェアして暮らしています。コストも下げられて、女同士で楽しい生活。その実態を、3回にわたってお話を伺いました。

初回は「オタク女子が、4人で暮らしてみて」をテーマに伺います。

女同士で住むと、恋愛のトラブルが起こる? いや、皆無です

——『オタク女子が、4人で暮らしてみたら。』では藤谷さんがルームシェアをしようと思い立ち、同居人を募集し、物件を見つけて実際に暮らしている様子がつづられています。「アラフォー女4人でシェア生活を始めます」と告げたとき、周囲の反応はどんな感じでしたか?

藤谷千明さん(以下、藤谷):基本的には、周囲からはポジティブな反応が多かったですね。ルームシェアを思いついた時点からいろいろと友達に話していて、ほとんどが「へー、面白そうだね」「頑張ってね!」くらいの温度感でした。

——肯定的な意見がほとんどだったんですね。

藤谷:でも、ごく一部の方からは「恋愛絡みのトラブルが起こるよ」とも言われました。恋愛の優先順位が高い人って、生活やメンタルが変動しやすいですよね。病んだり、恋人を家に連れてきたり、逆に相手の家に入り浸って家賃払わなくなったり、なんてこともあるのかな。

——なるほど。恋愛体質かどうかで変わってくるんでしょうか。藤谷さんのシェアハウスは、どうですか?

藤谷:今のところ、みんな出て行く気配はないですね。そもそも、同居人たちに恋人やパートナーがいるかどうかさえも詳しくは知らないんですね。同居人のプライベートには、お互いほとんど触れていない。土日に出かけていても、推し活なのかデートなのかは知りません。もちろん、言いたかったら言っていいし、私も今後語るかもしれないですが。

SNSで出会った人と一緒に住むデメリット? ありません

——同じおうちでずっと一緒に過ごしていても、藤谷さんたちはお互いのプライベートにそこまで深入りしないんですね。

藤谷:もともとSNSを通じて知り合った友人関係だからなのか、あまり気にしたことはないです。SNSのフォロワーに求めることって、「みんな元気に推し活して、金銭取引が発生したときは、すみやかに対応してほしい」くらいの温度感じゃないですか(笑)。

——SNSで出会った間柄の方と一緒に住むことに、不安はなかったですか?

藤谷:あまりなかったですね。例えば、推しのゴシップ話を頻繁にする人はSNSで眺めるのはいいけど、一緒に住みたくはないかな? みたいに、SNS上の振る舞いを見ていれば、生活を共にできる人というのはなんとなくわかるというか。もちろん、今回うまく行ってるのは単純に「運が良かった」だけかもしれませんが。

——なるほど。実際に一緒に住むにあたって、困ったことはありましたか?

藤谷:ご近所さんに「この人たち、一体なんなんだろう」って思われないかな? というのは不安でしたね。ポストに4人の名前を書いているけど、全員苗字はバラバラだし。謎の反社会的集団だと思われたら嫌なので、引っ越しの際には「友達同士で住んでいます」と伝え、きちんと挨拶しました。

——しっかりしていますね! その体験をもとに『オタク女子が、4人で暮らしてみたら。』を出版されましたが、反響はいかがでしたか?

藤谷:基本は「楽しそう!」「理想!」など、肯定的な意見が多かったのも意外でした。でも、この本について取材していただいた記事のコメント欄に「よく知らない人と一緒に住めるね」「金品を盗まれたりしないのか」なんてコメントがついたこともあります。ちゃんとみんな一般常識があるし、そもそも家族でも盗む人は盗むし、家族のほうが取り替えがききにくいから、大変だと思うんですよね。それに盗まれて危機感を覚える額の蓄えも持っていないので(笑)。

——同居人を信頼しているし、まったく心配はしていない、と。

藤谷:それに、仮に私が同居人のなにかを盗んだとしたら、共通のフォロワーとかに伝わっちゃうと思うんですよ。そうなれば、ネット・リアル問わず周囲からの信用が下がるし、きっとお金に換算したら、100万円分以上の損失になるんじゃないかな。

オタク女子ならではの楽しみも…生活は「快適な暮らしをつくるプロジェクト」

——オタク同士ならではの暮らしの楽しみは?

藤谷:やっぱりオタク同士なので、好きなコンテンツを一緒に見られることですね。例えば、最近は『おそ松さん』の3期が始まったので「みんなで見ないの?」って声かけたら、「監督が変わったから、心臓に悪い。ネットで感想見てから準備する」と言われちゃったので、別々に見ました(笑)。

——(笑)。でも、オタク同士だからこそ、繊細な気持ちも汲(く)めるんですね、きっと。

藤谷:それぞれ、リビングと自室で同じアニメを見てることもあって、例えば『ヒプノシスマイク』のアニメの初回で、「なんだこれは!?」となり、感想をLINEしあっています。

——Twitter実況みたいですね。

藤谷:なんだかんだ毎シーズン「覇権ジャンル」があるので、仲良くおしゃべりするきっかけになっていますね。オタクコンテンツが、コミュニケーションのインフラになってます。「昨日アレ見た?」っていう会話が自然発生するんです。お互い、イベントなどの情報も共有しています。そうそう、最近は『ツイステッド・ワンダーランド』のキャラの誕生日に、タコ料理が晩御飯に出てきたこともありました(笑)。

——ゲームや漫画などの共通資産についてはどうやって管理していますか?

大きなものは協議して購入を決めています。ちょうど先日、Amazon Prime Dayでテレビを買い替えようって話になったんです。4人の中でも32型か43型かで完全に意見が割れてしまって決められなかったので、共通の友人であるオタクグループに助けを求めました。「4Kテレビなら、推しのまつげもくっきり見えるよ」と言われ、「推しは一番キレイな状態で見よう!」と4Kの43型に即決しました(笑)。

Amazon Prime Dayで買い換えた43型のテレビ

Amazon Prime Dayで買い換えた43型のテレビ

——例えば、モノを買ったり何かを決めたりするときに多数決で1:3の構図になってしまうことは?

藤谷:あります。私、自宅にいるときによく水を飲むので、ウォーターサーバーが欲しかったんです。でも、協議の結果、却下されました(笑)。会社員チームは昼間家にいないから不公平ですよね。だから「しかたないな、そう言われたらそうだな」くらいで受け止めました。

——すべてきちんと話し合いのもとに進めているんですね。

藤谷:新しいテレビを置く棚を買うときも、どんなデザインのものを買うか会議しました。オタクだからみんなそれぞれこだわりがあるし、とにかく選択肢が多いんです。全員が納得する選択肢を探すのは大変でしたが、最終的にハンドメイドサイトで、ぴったりの寸法のものをオーダーすることになりました。

——すごい、ちゃんと情報を徹底的に拾って、ベストな買い物をしているんですね。

藤谷:本当に淡々としてますよ。オタクが同人誌をつくるときみたいな感じです。みんな、仕事でもないのに黙々とやるべきことを見つけて動くじゃないですか? オタク同士で共通目的に向かって進むのは、やっぱり楽しいんです。「快適な暮らしをつくるプロジェクト」みたいな感じですね。

(聞き手:小沢あや)

情報元リンク: ウートピ
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