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「コロナ禍で世の中が変わってもやることは変わらない」dancyu編集長が“食いしん坊”に届けたいもの

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“食いしん坊”のための食の雑誌『dancyu(ダンチュウ)』(プレジデント社)。1990年12月に創刊されて以来、約30年にわたって食のあれこれを紹介してきました。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言で多くの飲食店が厳しい状況に置かれる中、5月7日発行の6月号では「読者のみなさまへ」と題して、編集長自ら「世の中の状況が変わっても、dancyuがやることは変わりません。これまでと同じように、美味しい店、感動するレシピを紹介していきます」とつづり、これまで通り毎月雑誌を刊行しています。

7月には『dancyu“食いしん坊”編集長の極上ひとりメシ』(ポプラ社)も上梓した植野広生(うえの・こうせい)編集長にお話を伺いました。

dancyu2020年10月号(9月6日発売)

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ターゲットは「食のアクティブ層」

——『dancyu』のターゲット層を教えてください。

植野広生編集長(以下、植野):よく聞かれるのですが、僕は「食のアクティブ層がターゲットです」と言っています。食って、もちろんテーマによって変わるのですが、あまり年代や性別に関係ないんです。約30年間続いている雑誌なので、読者と一緒に年を重ねながらシニア層というジャンルで攻めようかという話もあったのですが、あまり意味がないんですよね。ちゃんと食のことを、本物のことをやっていればいろいろな人が読んでくれるはずなので年代で区切ることはしていません。

例えば、うちの雑誌は日本酒の特集が一番売れるのですが、日本酒は20代の女性から高齢者の方まですごく幅が広い。食のアクティブ層が広いということです。ただ、それを毎号やっていると雑誌としてつまらなくなるので、あえてすごく狭いアクティブ層の特集を組むこともあります。

——例えば何でしょうか?

植野:羊の特集とか(笑)。2018年6月号で「羊好き。」という特集を組んだのですが、その際に編集部員に言ったのは「羊に興味がある」「食べてみたい」という人は今回は読者層として想定しなくていいよって。羊が好きでたまらない人たちに当てていこう、と言ったんです。

——それはなぜですか?

植野:周辺も取ろうとすると中途半端になって雑誌としてつまらなくなるんです。絞ったテーマでやるのであればより絞った内容でやらないとつまらないし、絞ることで結果的にいろいろなファンがついてくる。確かに編集長なので1号1号の売り上げは気になります。でも、基本的にはトータルのファンを集めたい。いろいろなアクティブ層に当てたり、幅を広げたりすることでいろいろなファンの人が集まってくれるのが理想かなと思っています。

結局、羊の特集は部数は売上としてはそこまでいかなかったのですが、反響がものすごく大きかった。お手紙やメールで「よくぞやってくれました」というお声をいただいてうれしかったですね。

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「2年先まで予約が取れないお店」を取り上げない理由

——お店を取り上げる際に気を付けていることは?

植野:予約が何年も取れない店や対価として異様に高い店は取り上げません。金額ではなくて、その対価として高い店は絶対に載せないです。それはうちの読者である食いしん坊にとって、リアリティがないんです。「2年先まで予約が取れないお店」のようなコピーをほかの媒体で見かけることがありますが、褒め言葉なのかなんなのかよく分からないですね。店にとっては良いことなんでしょうけれど、「ここはなかなか行けない店だよ。でもうちは行ったけどね」と多くの人にひけらかすのに何の意味があるのか僕には分からないですね。

——読者にとってリアルではないですね。

植野:リアルじゃないし、僕らは取り上げる店はすべて編集部のスタッフが食べに行きます。そのときに「予約は2年待ちです」と言われたら雑誌も作れない。普通の読者がなかなか行けないからこそ紹介するという意味もあるかもしれませんが、『dancyu』はリアルな食いしん坊が読者なので、それは価値がないし、それよりも近所のおじいちゃん、おばあちゃんがやっているようなすてきな店、今日も明日も10年後も行っているだろうなという店を載せたほうが、我々食いしん坊的にはいい情報かなと思うんです。

——植野編集長と言えば「食いしん坊」ですが、食いしん坊とグルメの違いを教えてください。

植野:グルメは美食を突き詰める人、皿の中のおいしさを突き詰める人。食いしん坊は、僕ら挙動不審者ですね。いろいろ気になっちゃう。だから別にグルメを否定しているわけじゃなくて、僕だってなれたらなりたいです(笑)。

雑誌を作るときにも、スタッフには「僕たちは評論家じゃないからね」と口を酸っぱくして言っています。僕らは読者の代わりにたまたまそのお店に行っているにすぎないので、味を見るのではなくて体験をしてきなさいよと。おいしいかどうかだけではなくて、予約のときの対応や店の清潔感、椅子の座り心地など、お店のすべてを体験してどうなのかという部分を大事にしています。

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編集長の仕事は「違和感つぶし」

——取り上げるのは皿のおいしさだけではないということですね。ほかに意識していることはありますか?

植野:リアリティと違和感ですね。リアリティがないものは読者が離れていっちゃう。例えば、お寿司(すし)屋さんの白木のカウンターのところって、木目が横になっているので写真も横になっていないとおかしいんです。それをちょっと撮りにくいからと言ってお皿を動かして木目が縦になったまま撮ると絶対に違和感が出てしまう。

読者の怖いところは、写真の撮り方ひとつとっても僕みたいに理屈で考えているわけではなくて、一瞬で見抜くんです。理屈で言ってくる人には理屈で返せるのですが、感覚で違和感を持った人には返せないんですよね。だから本屋さんでパラパラとめくって「なんか変だな」と思ってポンと棚に戻されたらそれで終わり。小さなことかもしれませんが、それが積み重なるとファンが離れていってしまうので、違和感を感じさせないのが重要ですね。写真だけではなく見出しにも気を配ります。今の僕の仕事は「違和感つぶし」と言ってもいいのかもしれないですね。

食雑誌とか情報雑誌って、店側の立場で考えてしまうことが多いんです。でも、僕らはやっぱりあくまでも、食いしん坊視点、食べ手の視点を大事にしないといけない。写真の撮り方も、時には意味があって俯瞰(ふかん)で撮ることもありますが、基本は食べる人の目線で撮るんです。それがちょっと上目だと違和感を感じちゃう。「こんなに高い椅子に座って食べないだろう」って。

——インスタを見ていると真上から料理を撮った写真も多いですが、確かに不自然ですね。私も頑張って撮っちゃうことありますが。

植野:『dancyu』が目指すは“映えない写真”なんです。いや、それは言いすぎた。嘘(うそ)です(笑)。映えないのを目指しているんじゃなくて、“映えよりリアリティ”ですね。

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世の中の状況が変わっても、『dancyu』が目指すものは変わらない

——新型コロナウイルスの感染拡大によって飲食店は大打撃を受けました。6月号では「読者のみなさまへ」と題して植野編集長自ら「これまでと変わらず『食いしん坊のみなさんに食の美味しさや楽しさを提案する』」とつづっていらっしゃいましたがその意図を教えてください。

植野:こういう時期だからどうしようかといろいろ考えたのですが、結局は今まで通りのことを続けていこうという結論に達しました。食に関しては、コロナは関係なく食文化を大切にしていくというか、食いしん坊が元気になるようにみんなで応援しましょうと。それが30年近く『dancyu』が目指してきたことであるし、世の中の状況が変わっても、『dancyu』がやることは変わりません。

——最後に“食いしん坊”の読者にメッセージをお願いします。

植野:「読者のみなさまへ」にも書きましたが、このようなときこそ気になるレシピで料理を作ってじっくり味わっていただきたいですね。あるいは、行きたい店を見つけて「落ち着いたらあの店のこれを食べに行こう」と妄想を膨らませて楽しむ。そうすることでその店がもっと好きになるかもしれないし、実際に行ったときの感動も大きくなると思います。こうした妄想で食いしん坊パワーを炸裂させてほしいです。

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情報元リンク: ウートピ
「コロナ禍で世の中が変わってもやることは変わらない」dancyu編集長が“食いしん坊”に届けたいもの

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