女性のオーガズムのしくみから、セックス中のコミュニケーションにいたるまで、実体験を交えながら和やかに議論が行われたトークライブ、「快楽解体新書~女性の身体のナカとソト~」。
ゲストに女性器の美容形成に特化した「なおえビューティークリニック」院長の喜田直江さん、恋愛メディア「AM」の編集長の金井茉利絵さんを迎え、TENGA広報の西野芙美さん、工藤まおりさんも登壇。
イベントリポートの後編では、パートナーとのコミュニケーションに焦点を当ててお届けします。
【前編はこちら】ねぇ、イクってどういうこと?
Contents
それでも中イキしたい貴女へ
西野:喜田先生の説明で、中イキと外イキ、刺激をする場所が違うだけで感じている器官は同じだとわかりました。ただ、それでも中イキ信仰は根強いと思っていて。同じ器官による反射反応だとしても膣でイッてみたい人はどうしたらいいでしょうか。
喜田:そうですね……。外側への刺激でイケるのであれば、ある程度自分やパートナーさんに、ある状態までクリトリスを刺激してもらって挿入中も触れ続けるといいと思いますね。
西野:ある状態というのがこちらの図で示す、プラトー期?
喜田:はい。オーガズムまでの道のりとして、まず興奮期があります。視覚や触覚、聴覚などでだんだんと興奮が高まってくる時期で、クリトリスが充血して、膣の中も潤い始めます。この興奮期が意外と長いということをまず知ってほしいです。この時に挿入をしてしまうとイクことができないので。
一同:なるほど。
喜田:刺激を止めてもオーガズムまで突っ走るのが、プラトー期です。ただ、先ほども言いましたが興奮期からプラトー期に行くまで、人によって1時間かかることもあります。日本の男性、全員がそうではありませんが、前戯が短い方が多いと思うんですよね。
一同:(無言でうなずく)
喜田:前戯を開始して5分、10分で挿入しても、プラトー期に到達していないので、イケない女性が多いのだと考えています。
西野:AVとか見ていても、あれは男性(視聴者)を喜ばせるためのファンタジーとして作られているので、女優さんはストーリー通りにサクッとイクじゃないですか。
工藤:企画として「出会って5秒で合体」とかありますもんね。そんなの現実のシチュエーションとしてはありえない。そういうものを参考にしてしまうと、現実のセックスとギャップを感じてしまうでしょうね。
イク/イカないをAVに準ずる必要なんてない
西野:私の残念な元カレ経験談が多くて恐縮なのですが、挿入している時に、「早くイッて」と言われたことがありまして。冷めた私は真顔で「うん、イマイッタ」って返したことがあるんですけど。女性は、「AVに準ずるとこの時点でイクはずなのに、いかない君はおかしい」みたいな価値観がどこかにあるのかな。
工藤:私もあります。達していないのに、「いまイッたね」と言われたことがあって。「え……!?」って(苦笑)
金井:そういうすれ違いは多いですよね。あと、イッた演技をする女性も多い。演技することの良し悪しについては触れませんが、そんな簡単にイカないよというのは男性にも伝えないといけませんね。
西野:セックスにおける男女の悲しいすれ違いを緩和して、女性がオーガズムに達するためには何が必要だと思いますか?
喜田:私は、オーガズムを得なきゃいけないと考えることが一番よくないと思います。オーガズムを得られない理由には、ちゃんと集中できていないことがあげられます。性交渉だけに集中する、あとは何も考えない。まずは絶対にイカなきゃいけないという思い込みを捨てましょう。
西野:確かに、イクことがプレッシャーになると、全然体の感覚に集中できない。“考えるな、感じろ”ですね。
邪念には駆けつけテキーラ3杯!?
西野:セックス中にいろいろ雑念が湧いてくる問題もあります。私の場合、「明日何時に起きなきゃいけないんだっけ」と思うことがあります。どう対策するのがいいでしょうか。
金井:雑念はAMにもよく寄せられる悩みです。「今の顔大丈夫だったかなと気になって集中できない」とか。
西野&工藤:わかる!
金井:気遣い上手な女性が多くて、「あえぎ声に変な疑問符つけちゃったかな」とか、気にしちゃうんですよね。喜田先生がおっしゃったように、雑念対策には気持ちいいという感覚だけに集中することだと思います。瞑想とかに近いのかな。瞑想も自分の呼吸だけに集中っていうじゃないですか。
西野:私いま、週1でホットヨガに通っているんですけど、レッスンは瞑想から入るんですよね。腹式呼吸で自分の呼吸だけに集中しよう、と。みんなヨガをやればいい感じに集中力がマスターできる……?
工藤:いやいや、難しくないですか? 私も割と邪念が入るタイプで、顔とか声とか、次の体位とかが気になるんですよね。
金井:うんうん。段取りとか考えちゃいますよね。
西野:テキーラ駆けつけ3杯してみるとか?
工藤:お酒は効果的なのでしょうか?
喜田:感覚が鈍るので飲みすぎはよくないですが、リラックスにはいいのではないでしょうか。
工藤:テキーラ3杯か……。
西野:それは工藤さんの適量ですからね! みなさん、自分の適量でお願いします!!
女性が主体的に「気持ちいい」を追求するために
西野:女性がセックスを主体的に楽しむにはどうしたらいいでしょうか?
喜田:まず男性に自分の気持ちいいところをちゃんと伝えることですね。感じる場所は人によって全然違いますし、自分の体の気持ちいいところは、自分にしかわかりません。まず、自分の体と向き合うこと。そして、男性に「ここを刺激してほしい」とちゃんとリクエストする。
工藤:「どこをどうすれば気持ちよくなるのかわからない」と女性からの質問が多くて、
そもそも女性器に対して馴染みがない女性が多いのだなと感じますね。
喜田:クリニックに来られる方の中にも、自分の性器を見たことがないという人は多いです。いきなり指を入れなくてもいいので、まずは自分の性器を自分の目で見て、清潔にお手入れをして、それから指で膣の中に触れましょう、とお伝えしています。これは日本の教育のよくないところだと思うのですけれど、教えられていないからわからないんですよね。
工藤:そうですね。「触れちゃいけない、見ちゃいけない、でも大事にしてね」と言われても、大事にする方法がわからないというのはあると思います!
リクエストはビッチじゃない
西野:自分の体を知るのが最初のステップですね。次に、男女のコミュニケーションについて、金井さんに聞きたい。セックス時の上手なコミュニケーションの秘訣はありますか?
金井:この話題はAMで、コラムニストのBetsy(ベッツィー)さんという方がよく書いてくださっていて、なるほどと思ったのが「彼に小さなタスクを与えよう」というものです。ベッツィーさんはゲームの「どうぶつの森」を紹介していて。私はそのゲームを知らなかったのですが、原稿を読むと、プレイヤーはゲームの中の動物たちに「魚をとってきて」とか「果物を持ってきて」など「お願い」をされるらしいのです。そしてその小さなお願いがプレイヤーは嬉しいらしいんですね。要するに、フラットにフツーにお願いしちゃえばいいんじゃないか、と。
西野:具体的なオーダーが必要ということでしょうか。
金井:そうですね。逆の立場で考えてみても、具体的に言ってくれるほうがやる気が出ますよね。「よし、この課題をクリアしよう」みたいな。ビッチな女だと思われそうっていうのは、思い込みにすぎないと思いますね。
西野:そうですね。先日、マネジメント研修を受けた時にも同じような話を聞きました。例えば、「売り上げを200%に伸ばす」という依頼ではわかりにくいから、それが目標だとしたら、達成するには月に受注を何件取る、そのためには1日に電話を何件かける……みたいな。タスクを細分化して投げかけるとすごくやりやすい、と。
金井:「私をイカせて」ではなく、小さなお願いをステップバイステップで。
工藤:素直に言うことも大事だと思います。「ああしてください」「こうしていただけないでしょうか……」とか。
西野:なんで下手に出てるの!?(笑)
金井:まあ、自分の好きな言い方で、ということで(笑)
工藤:「もうちょっと下」とか「もう少し強く」とか、肩こりのマッサージをしてもらっている時に伝えるような感覚で伝えられるといいですね。フラットに、フツーに。
金井:そうですね。AMで恋愛メディアとして7年やっていて、「女性が深刻になるとロクなことにならない」というのを感じていまして。考えすぎるとよくないので、もうちょっとノリを大切にと思うのですが、そう言ってしまうと「よし!ノリを大切にしよう!」とまた考え始めてしまうと思うので(笑)。性病と避妊には気をつけて、考えすぎず、深刻にならず、普通に楽しくしたら、一番気持ちよくなれるのではないかなと思います。
(構成:ウートピ編集部 安次富陽子)
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情報元リンク: ウートピ
「もっと気持ちよくなりたい」ってビッチなんかじゃない【快楽解体新書】