「暖かくなって春のファッションを楽しみたいけれど、どんな服を着ていいのか分からない」
「カジュアルなファッションが好きだけれど、コーディネートがマンネリ化している」という人は少なくないのでは?
映画やテレビCMなどで多くのモデルや俳優の衣装を担当するスタイリストの中川恭子(なかがわ・きょうこ)さんの新刊『きれいめ、カジュアル、モードが全部できるようになる』(日経BP)が2月14日に発売されました。
自分を最高に引き立たせる服を自由自在に選べるようになるためにはどうすればいいの――? 今週から4週連続で本書の一部をご紹介します。(毎週水曜更新)
はじめに
みなさんは、どんなファッションがお好きですか?
きれいめでしょうか、カジュアルでしょうか?
そして、モードを着ている人はちょっと少ないでしょうか?
でも、たまにはいつもと違った服が着てみたいと思ったことはありませんか?
じつはその感覚は正しくて、いま「おしゃれ」はジャンルを横断しています。
数年前にスニーカーが大ブームになったり、モードっぽい韓流ファッションが流行ったり、とにかく「おしゃれ」と言われるもののジャンルが幅広くなりました。
また、「抜け感」という言葉がいつの間にか定着しました。これは、「かっこつけすぎていない」、「力が抜けている」という意味です。「ドレスダウン」や「カジュアルアップ」(このふたつは、つまりきれいめ×カジュアルという意味です)という意味と同じですが、これらの塩梅ができることも大切です。
つまり、いろんなジャンルができたり、なおかつちょっとミックスもできる、ということが「おしゃれ」になってきたのです。
私は、アパレル販売員を振出しに、現在は、モデルや女優のスタイリングを手がけたり、一般の方々をコーディネートするパーソナルスタイリストをやっています。
そんな中、
「いつもきれいめの格好をしているから、スニーカーの履き方がわからない」
「カジュアルの服しか持ってないから、きれいめの格好をしなければいけないときに
服がない」
「赤いリップをつけてみたいんだけど、モードの服を着なきゃいけないのかな」
など、「これはジャンルを超えているな」と思う相談が多くなりました。
日々のおしゃれは、ちょっと難しくなってきているのです。
私が一般のお客様をスタイリングするときは、いつものジャンルの服をブラッシュアップして着ていただけるようにするのはもちろんですが、いちばん最初はどんな方も「変身してもらう」ことにしています。
人の性格も、その日の行動も、一面だけではありません。服装は、どうしてもその人柄だと思われてしまうものなので、さまざまな雰囲気を身にまとえる人は、おしゃれだけでなく、とても魅力的です。
どのジャンルにも「モード」感があるとおしゃれに見えるのが、今の主流
この本で取り上げるジャンルは、「きれいめ」「カジュアル」「モード」の3つです。
この3つはシルエットがまったく違い、雰囲気がバラバラなので、この3つができるようになれば、おしゃれなコーディネートが大体できるようになるからです。また、ここで取り上げていることができると、どんな流行にも関係なく、おしゃれのすべての基本ができるようになります。
ぜひ楽しみながら、身につけてください!
さきほども言ったとおり、おしゃれはジャンルを横断しており、境界があいまいになっています。この本では、「きれいめ」「カジュアル」「モード」の、現在最もそのジャンルでおしゃれだと思われているだろうコーディネートをご紹介しています。
この本は、この3つのジャンルがそれぞれできるようになる構成になっていますが、全体にかかわるポイントが3つあります。
ひとつめは「モード」、ふたつめは「シルエット」、最後が「レトロ&クラシック」です。
特に注目していただきたいのが、「モード」です。
ここ最近、おしゃれの大きな主流は「モード」だからです。でも、全身ガッチリモードというわけではなく、モードの要素「かっこいい」「クール」という要素が、どんなジャンルの服にも入ってきています。
詳しくは本編でお伝えしますが、「きれいめ」は可愛さをできるだけ排除し、「カジュアル」ではかっこいい色「黒」がキーカラーになってきます。
数年前から大きなスパンで来ているこの「かっこよさ」は、もしかして、これまでの女性らしさと、現在の女性らしさが変ったことの証明かもしれません。また、かっこよさは大人の女性を素敵に見せるので、女性はいくつになっても美しい、自分らしさを大切にしたい、という気持ちの表れなのかもしれません。
ふたつめのシルエットも大切です。
「きれいめ」「カジュアル」「モード」の3つとも、それぞれ基本のシルエットがあります。
おしゃれでいちばん大切なのはシルエットで、これさえ守れば、あとは多少間違えてもおしゃれに見えるほどです。
シルエットとは、そもそも「輪郭」という意味ですが、つまり「遠目から見てどんな形か」ということです。「自分が見られたい雰囲気と、他人から見られている雰囲気とギャップがある」という相談もたまに受けるのですが、この場合、ほとんどシルエットができていないことが多いです。
服に何がついているかなどの細かいディテールに気を使ってしまって、大きなシルエットを見落としているのです。
おしゃれになりたいなら、まずはざっくりとシルエットです。この本では、シルエットについてもわかりやすく解説してますので、ぜひ身につけてください。
最後のキーワード、「レトロ&クラシック」は、「モード」のかっこよさの味つけとして使えます。
モードのみのかっこよさに、「かわいい」「甘い」味つけは似合わないのですが、このクールさに「レトロ&クラシック」の要素はケンカせず、引き立たせるので、かっこよさのみに飽きたときに、この武器は使えます。
3つのジャンルすべてに出てくるので、覚えておくと便利です。これも、本編で詳しく説明します。
この本を読み終わるころには、「きれいめ」「カジュアル」「モード」のテクニックを知って、すべてができるようになっていると思います。
結局、服は自分の着たいものを、自分らしく着るのがいちばんです。
それが自分から見てだけでなく、他人からも最高におしゃれに見えればますます言うことはありません。
おしゃれと切り離せないのが「流行」です。流行はそのときどきに自分のおしゃれに足して楽しむもので、基本さえ身についていれば、さっと雑誌を見た程度で取り入れられるようになります。この3つのジャンルさえわかっていれば、どんな流行がきたとしても、何でも楽に取り入れられるはずです。
ぜひ、この本で、この3つのジャンルが自由自在にできるテクニックを手に入れてください。そして、読み終わったあとには、ジャンルを超えて、好きなように融合させてくださっても構いません。
そうなったとき、あなたらしい、あなただけの最高のおしゃれができるようになっていれば、こんなに嬉しいことはありません。
(写真:中村彰男/人物)
※次回から、この本で紹介されている「きれいめ」「カジュアル」「モード」のスタイリング例をご紹介します。お楽しみに!
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情報元リンク: ウートピ
「きれいめ」「カジュアル」「モード」を使いこなして! 人気スタイリストが教えるコーデ術