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これからの社会に「行動する傍観者」が必要な理由【アルテイシア・太田啓子】

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連載「○○と言われて微妙な気持ちになる私」を更新するたびに、「あるある!」と共感の嵐を巻き起こす、作家のアルテイシアさんとジェンダー問題について考える特別企画。

今回は、8月に刊行された『これからの男の子たちへ 「男らしさ」から自由になるためのレッスン』が話題となった、弁護士の太田啓子さんをゲストに招きました。連載2回目では、離婚案件を多数担当してきた太田さんから見た夫婦間のジェンダーギャップと、性差別をなくすためにアルテイシアさんが提唱する「行動する傍観者」について語っていただきます。

離婚裁判の中に見えるジェンダー問題

画像はイメージです。

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——太田さんはこれまでに数々の離婚裁判を担当してこられたと思うのですが、離婚事由の中には、ジェンダー問題が複雑に絡んでいるケースも少なくないのでは?

太田啓子さん(以下、太田):私が担当している8割ほどが離婚関係の案件で、さらにクライアントの8割が女性なんです。女性の弁護士はまだやっぱり少ないので、特に女性弁護士をと希望するクライアントが多い事件ジャンルは女性弁護士に集中するからですね。

話を聞いていると、夫の暴言に苦しんでいる方は多いですね。「誰のおかげで飯が食えているんだ」といった発言はいまだに当たり前のようにある。意見が合わないときに「口答えをするな」夫が激昂するパターンも多いです。

アルテイシアさん(以下、アル):「口答えをする」と感じる時点で、すでに妻を対等な存在として見ていないですよね。

太田:離婚事件に関わっていると、世の中の性差別構造がそのまま家庭内にスライドしていることがよくわかりますよ。ミソジニー(女性嫌悪)的感性が炸裂しているというか……。

アル:そういう夫は、たとえ共稼ぎだとしても上からきますよね。「俺と同じだけ稼げるようになってから物を言え」「そうしたら育児も手伝ってやる」みたいな。

太田:男女平等参画白書を見ると、専業主婦の夫より、パートなどで働いている妻を持つ夫の方が家事育児に携わっている時間が短い、というありえない統計が出てきます。なぜなのか私にはわからないけれど、もしかすると専業主婦だと「家のことを全部任せている」ことで、妻に対して感謝の念が湧く、ということなんですかね。

逆に妻が少しでも稼いでいると、同じ「稼ぎ」フィールドの中で、「俺の方がずっと稼いでいるんだから家のことは妻が多くやるべき」という競争心が湧くのか……。

アル:女性が本当は働きたいのに専業主婦をしていたり、パートでしか働けないのも、子育てしながら正社員として働き続けられる環境が整ってないからですよね。出産してからの再就職も難しい社会だし。

女性が経済的に自立するための壁は、社会の仕組みが原因なのに、「女は男をATM扱いしている」とか言う男性がいるじゃないですか。むしろ「金を稼ぐこと=男の価値」だと思い込んでいる彼らが、自分をATM扱いしてるんですよ。

太田:自分の存在価値を経済力に紐付けるような発想は、とても危ういですよ。もし思わぬことで失業するなど、収入が途絶えてしまった場合、アイデンティティクライシスに陥ってしまう可能性が高い。そしてそういう男性は、専業主夫を選んだ男性を下に見るような傾向もある。

自死を選んだ「浪速のトランプ」

画像はイメージです。

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アル:私の父親も「男は稼いでなんぼ」という「浪速のトランプ」みたいなおっさんでした。だから事業に失敗した時に「自分は男として失格だ」と絶望して、「男は強くなければ」という呪いから、誰にも助けを求められず、自殺を選んだのだと思います。

太田:自分の価値が認められなくなってしまったんですね。

アル:男性の自殺者数は女性の2.2倍だそうですが、そのデータを印籠のように出して「ほらみろ、男の方がつらい!日本は女尊男卑だ!」みたいなクソリプが飛んでくる。

でもそれは女性のせいじゃなく、男性自身がジェンダーの呪いに囚われているからだと知ってほしい。じゃないと永遠に女を敵視することになるし、「男はつらい、つらいから女を殴る!」とDVや性暴力におよぶ男性もいる。そんな彼らに「つらいなら、つらいと言えよ。言えないなら、なぜ言えないか考えてみなよ」と言いたいです。

太田:敵は自分たち男社会の中にあるのに、そう思いたくなくて女性を仮想敵にしてしまうんでしょうね。最近、「男性性について改めて見つめ直そう」というテーマの本も少しずつ出てきて、少しずつそういうトレンドもきているんだけど。

アル:清田隆之さんの『さよなら、俺たち』とか、男性性をテーマにした本が注目されていますよね。

太田:そうそう。でも清田さん自身も、「男性をどうやって自省の方向へ向かわせるかは本当に難しい問題だ」と言っていて。離婚裁判でも、妻の言い分を聞いて「自分が間違っていた。妻が言ってることが正しい、生まれ変わりたい」なんて言う夫は見たこともないわけです。「妻は産後うつが酷くて、メンタルの調子が悪いからおかしなことを言っているんだ、そうに違いない」なんて一人で納得していたり、本当に厄介ですよ。

「行動する傍観者」の存在が性暴力を減らすきっかけになる

——男性がいつまでも「有害な男らしさ」を内包し続けた結果、その矛先は女性に向かい、性暴力につながっていくという危険も出てきます。最近アルテイシアさんは、新しく活動を始められたそうですね。

アル:そうなんです。性教育YouYuberのシオリーヌさんと一緒に「#性暴力を見過ごさない」「#ActiveBystander」という動画を公開しました。

太田:すごく楽しみにしていたんです、私。

アル:ActiveBystanderは、「行動する傍観者」という意味なんです。性加害の場面にでくわしたとき、たとえその場で加害者を捕まえられなくても、「助けてくれる人がいる」という社会に対する信頼があれば、被害者は安心して助けを求められる。そのために行動を起こそうというメッセージを、動画を通して伝えられたらいいなと思ってます。現状は性被害に遭っても誰にも相談できず、支援につながれない人が多いですよね。

太田:助けを求めたところで二次加害に遭うかもしれないと考えたら、なかなか言えないですよね。

アル:そうなんです。加害者を擁護したり性暴力をエロネタ扱いしたり、ハニートラップだの女性に隙があっただのと被害者を責めたり。そんな状況を変えていかない限り性暴力って減らないし、被害を受けても泣き寝入りするしかない。そこに対して「加害者でも被害者でもない、傍観者として何ができるのか?」と訴えていきたいです。

太田:すごく正しいアプローチだと思う。性暴力的な場面に出くわした時、何か行動したいと思う人はいると思うけど、方法を知らないと人ってなかなか行動はできないですから。些細なことでも案外助けにつながるということを、具体的に知らせる活動って重要ですよ。

自己責任ではどうにもならない数々の特権

アル:日常的なセクハラシーンでも、傍観者の行動はとても大事だと思っていて。女友達から聞いたエピソードなんだけど、おじさん上司が若手の女性社員に「今夜も旦那と子作りするのか?」と聞いたらしいんですね。

太田:うわ、最低だな……。

アル:21世紀によく言えたな?という話なんだけど、その場にいた男性の先輩が「それってセクハラですよ」と注意してくれたそうなんです。上司は途端に気まずい顔になり、それ以降その手の発言をしなくなった、と。

友人いわく、注意してくれた男性の先輩は夫婦で不妊治療をしていて、だから自分事として考えられたんじゃないかと。

太田:なるほど。やっぱり男性って、男性に指摘されると弱いですよね。

アル:そうそう。ミソジニー(女性嫌悪)が染み付いたおじさんは、基本的に女の話を聞かない。だからこそ、男性に積極的に声を上げて欲しい。動画の主人公を男性にしたのも、男性にこそ考えてほしいからなんです。

太田:「男性はみずからの特権を正しく行使してほしい」と思いますよね。何も行動しないことは加害に消極的にせよ加担していることに繋がると、もっと知ってほしい。

アル:でも男性の特権について話すと、「レディースデイがあるから女は得」みたいなクソリプが飛んでくる。500円ぽっちの値引きで何言ってやがる、と。そもそもレディースデイも女性専用車両も女が作ったものじゃないし。

生まれながらにして持っている特権に対して、多くの人は無自覚で無頓着じゃないですか。しかも「自己責任」という考え方が社会で蔓延していて、このままだと「努力しない人間が悪い」という考え方を幼い頃から刷り込まれてしまうことになる。

太田:もともとの立場が違うと、努力しても報われないこともあるにも関わらず、ね。

アル:男だとか女だとか、生まれついた家庭だとか、もともと決められてしまった席は自分では決して選べない。そういうことを子どもたちに伝えていくことが、大人の責任だと思います。

太田:「社会構造を見る」という発想が欠如した人たちがあまりに多いことに愕然(がくぜん)とします。皆が平等に生まれてきてはいないから、自分の力ではどうしようもないことが世の中には絶対にある。そういう視点が欠けていることで、性差別さえも「自分自身でなんとか対処しろ」という歪んだ認知に繋がっていると感じます。

アル:スウェーデンでは保育園から「性別、民族、宗教、セクシャリティ、障害に関わらず、人間には全員同じ価値がある」と子ども達に教えて、かつ「子どもは親を選べないから、国が子どもを育てる」という方針のもと、教育費は全て無料だそうです。

その話を聞いて、羨ましすぎて吐きました(笑)。でも嘔吐してるだけじゃ変わらないので、大人の責任を果たしたいと思っています。

最終回は10月19日(月)公開予定です。
(構成:波多野友子、イラスト:中島悠里、編集:安次富陽子)

情報元リンク: ウートピ
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