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「こういう女であれ」という押しつけはしたくない【写真家・相澤義和】

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ヌード写真がメインなのに女性から熱烈な支持を得る写真家、相澤義和さんへのインタビュー。普通の女の子たちの自然な姿を記録し続けた、相澤さんのInstagramのアカウントは、10万人以上のフォロワーを持ちながらも幾度となく凍結されてしまいます。

その一方で、Instagramの作品群から厳選した写真で構成した写真集『愛情観察』(百万年書房)が話題を呼んでいます。相澤さんの目には、女性という存在がどのように映っているのでしょうか。3回にわたってお届けします。

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グラビアへの違和感

——写真集『愛情観察』を拝見すると、いわゆるグラビアとは違った女性の姿が写し出されていますよね。グラビアでは修正されてしまうようなお腹のしわとかもそのままで。

相澤義和さん(以下、相澤):過去には仕事としてグラビア撮影も少しやっていたんですよ。でも、どこか面白くなかった。おっしゃる通り、しわとかも当たり前のように修正されてしまうんです。

一方、パートナーを撮るときは、ただ撮るだけで彼女が喜んでくれるんですよね。ちょっと変な顔をしていても撮るんですが、それを彼女は「すごくいいね」と喜んでくれて、そのへんからいわゆるグラビアと価値観のズレを感じ始めました。

——モデルはどうやって探しているんですか?

相澤:なんとなくソーシャルメディアで声をかけたりかけられたりして、いろんな女の子と知り合って撮っているという感じです。モデルの子には自由にしてもらって、ただただ何も決めずに撮ってるんですけど、その集約がこれ(『愛情観察』)なんです。

——では、こういうポーズをしてくれとか、そういうリクエストはしていない? グラビアだと、男性を欲情させるためのポーズや表情をカメラマンが指示したりしますが……。

相澤:ほとんどしてないです。「そのへんに立って」くらいは言ったりもしますけど、自分が指示を出してしまったら、僕の写真になってしまって「その子」が写らないんですよ。何も決めずに、女の子たちが自発的にそこで何をするのかが面白いんです。勝手に動いているところを、構図を狙わずにただただ撮っているので、全然ピントがあってなかったりすることもよくあるんですけど(笑)。

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——たとえば、『愛情観察』の中には、路上でスカートをめくっている写真がありますけど、これもモデルが自発的に?

相澤:そうです、自発的に。モデルの子たちとは、さっき言ったような価値観のズレの話をけっこうしていて、そういうときに例えば「グラビアごっこやろう」ってグラビアっぽいのを撮ったりしたことはあります。そういうとき以外は、ほんとに自由に表現してもらっています。

——写真を撮っていてどういうときが一番面白いですか。

相澤:予測から全然はずれたことをされると「うわー、すごいなー!!」って思いますね。たとえば、人がいない北新宿を歩いていたとき、急にモデルの子が黙ったんですよ。何をするのかと思ったら急に逆立ちしはじめて(笑)。あまりに驚きすぎて、1枚しか写真を撮れませんでした(笑)。それがいい写真かどうかはまた別の話なんですが、そういう予想外のことをされると面白いと思いますね。

テーマを決めずに自由に流れに任せていると、まったく予想していない広がりが出てくるんです。それだけ女性が自由にしている時の姿は魅力的だと思います。

『愛情観察』より

『愛情観察』より

「こういう女であれ」という押しつけ

——他媒体のインタビューを拝読したんですが、「記録」という言葉をよく使ってらっしゃいましたね。主観を入れずに、モデルさんそのものを「記録」するのが作風なんでしょうか。

相澤:基本的にカメラマンって自分の色を出したいんですよ。“俺の色”とか、“俺の構図”とか……。僕も、仕事のときだったり、若いころの写真はそうだったんです。でも、それってある側面から見たら一方的に僕の価値観にはめ込むことにもなりますよね。こういうポーズが美しいんだよとか、こういう笑顔が美しいんだよとか、そういうことを押し付けてしまう。「こういう女であれ」という押しつけになってしまうと気づいてからは、写真の表面的な表現に個人のカラーを出す事を控えるようになりました。

——モデルさんたちは、ソーシャルメディアで声をかけたりかけられたりして出会うということでしたが、撮りたいと思うのはどういう方ですか?

相澤:ソーシャルメディアで応募がくるので、その子のツイッター投稿とかを見てみるんですけど、賢さが見える瞬間があるんですよね。そういう子たちをピックアップさせてもらっています。

——ツイッターとかの短文でも判断できるってすごいですね。相澤さんが行間を読む力に長けているのでは?

相澤:いや、長けているというより、想像するのが好きなんだと思います、はい。それに、自分の想像が正解かどうかなんてわからないです。もちろん、会ってみてほんとに賢いなぁという子もいますけど、支離滅裂だなぁと思う子もいますし(笑)。

——賢さのほかに、見ているところはありますか?

相澤:僕のソーシャルメディアに出るとなると、フォロワーも当時は多くいましたし、不愉快に感じるような言葉をかけられる可能性があるじゃないですか。そういったことをある程度覚悟できるか、そういう強さがあるかをなんとなく見ているという感じですね。ただ明確な基準のようなものはまったくありません。

——モデルさんに心を開いてもらうためにやってることってありますか? これだけ自由にポーズをとったりしている姿を見ると、相澤さんに心を開いているなぁと感じるのですが。

相澤:はじめて会うときは必ずその子が指定した場所に行くことにしています。よくわからないおっさんに指定された場所に行くのは怖いだろうというのがまずあって。そこで散歩をするんですよ。

——散歩?

相澤:そうです、歩きやすい靴を履いてきてもらって散歩する。その女の子が指定した場所というのは、何かしらその子の人生にかかわっていて、たとえば忘れられない人と歩いたとか、ここでふられたとか、そういう思い出があったりするんです。ぶらぶら散歩しながらそういう話をして、撮っていく。

本心をわかった気になるのが一番怖い

——初対面から「記録」を続けてるんですね。

相澤:できれば、待ち合わせ場所で1枚撮ります。それが最初に僕に見せる顔なので。何回も会っていると表情がどんどん変わっていくんですよ。そういう表情の変化が、すごい物語になると思うんです。初対面では顔をこわばらせていた子が、3回目にはほぐれたやわらかい顔してたり。

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(写真上下)どちらも同じモデルだという/『愛情観察』より

上下どちらも同じモデルだという/『愛情観察』より

——そこまでほぐすのもすごいですね。どうやってコミュニケーションをとれば、そんなふうになるんですか?

相澤:相手にもよりますが、とりあえずは「僕は無害だよー」ということを理解してもらうようにしています。この容姿なので(笑)。たとえば、今日撮った写真は送るから、嫌なものは絶対にNGと言ってくれと伝えるとか。嫌だと思われるようなものを撮りたいわけではないので、そういうことは逐一言っています。あとは、昔の男の悪口とか聞きますね(笑)。

——それ、絶対盛り上がるやつですね(笑)。相澤さんのほうからも、昔つきあっていた女性の話とかをするんですか? 自己開示というか。

相澤:はい、します。「昔Instagramにあげていた子は彼女?」とか聞かれたりもするので、「そうだよ」とかそういう話をして。やらかしちゃった失敗談とかも(笑)。

——自己開示って大事ですよね。

相澤:そうですね、自己開示をできるだけ嘘偽りなくすることが大事です。心の開放度を広げてもらうためには。ただ結局のところ本心ってわからないじゃないですか。その本心をわかった気になるのが一番怖いんですよ。わかった気になるとか、思い込みとか、そういうのをできるだけなくすことを心がけています。

——たしかに、「この人、〇〇系だな」とカテゴリ分類すると、それで分かった気になっちゃうときってありますね……。

相澤:男も女もLGBTもすでにカテゴリじゃなくて、そこにあるのはグラデーションだけじゃないですか。だから個を見ないと。本心がどこにあるかわからないという前提のもと、個々に写った事実を見るといいますか……。

——上がった写真を見てはじめて、「本心を引き出せたな」とわかるんでしょうか。それとも、撮ってるその現場でわかるものでしょうか。

相澤:現場で「なんか出たな」という感じですね。ちなみに、「引き出せたなぁ」という感じではないです。カメラを向けていると、女の子が勝手に自分の美しさに酔っていって揺れていくんです。そこに対して何か引き出そうとしても、「邪魔しないで!」って感じじゃないですか(笑)。そういう余計なことをしないように心がけています。

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(取材・文:須田奈津妃、撮影:青木勇太、編集:ウートピ編集部 安次富陽子)

情報元リンク: ウートピ
「こういう女であれ」という押しつけはしたくない【写真家・相澤義和】

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