体型も年齢も肌の色もさまざまなモデルが登場
今、さまざまな場面で耳にする機会が多い「ダイバーシティ」と「インクルージョン」という言葉。
あらためてその意味を確認すると「ダイバーシティ(diversity・多様性)」は性別、人種、国籍、宗教、価値観などは異なるけれど、その違いを互いに認め、尊重するという考え方。一方、「インクルージョン(inclusion・包括)」はそれらが異なる者同士が共にコミュニティーをつくり、その中でそれぞれの違いが生かされること……と言えそうです。
ファッション業界では最近、ポロ・ラルフローレンが大人と子供のためのジェンダーニュートラルなカプセルコレクションを発表して話題になっていますが、ランジェリー業界でも同じような流れが起きています。
その流れの象徴と言えば、リアーナのランジェリーブランド「Savage×Fenty」。それまでランジェリーのモデルというと、10頭身クラスのスリムで若い白人女性というのが定石だったのですが、このブランドのショーに登場するのは体型も年齢も肌の色も多様性にあふれているモデル達。サイズも32Aから46DDD(日本サイズだと70Aから110G程度)、XSから3Xとそろえていることが高く評価されています。
私が毎年取材に訪れる“ランジェリーのパリコレ”と称される「パリ国際ランジェリー展」でも、ダイバーシティの流れが2年ほど前から明確に表れていました。例えば、2年前に同展でフランスのランジェリーブランド「オーバドゥ」を取材した時のこと。このブランドは“誘惑”や“官能”をキーワードにしており、ラグジュアリーでセクシーなランジェリーを数多く展開しています。
そのブランドの新作を着用して登場したのは妊婦さんのモデル。自信たっぷりにセクシーなランジェリーをまとうモデルさんは、他のモデルとは違う美しさと存在感を放っていました。
また、今年1月の総合ランジェリーショーにはプラスサイズブランド「エロミ」を着用したモデルが登場。フランスを代表するブランド「シャンテル」も新作のイメージビジュアルにはスリムなモデルではなく等身大の体型のナチュラルな雰囲気のモデルを起用しています。
さらに注目ブランドとしてフィーチャーされていたのが、さまざまな肌色に合ったヌーディカラーの下着を展開していた「ヌビアンスキン」。創設者自身もナイジェリアにルーツを持つ褐色の肌の英国人女性で、「自らのフィロソフィーを表現するブランドとして立ち上げた」と語っていました。
誰もが心地よく着られるインクルーシブデザインの下着
「ピーチ・ジョン」は今夏からインクルーシブデザインの発想を取り入れた商品開発プロジェクトをスタート。現在発売中のプロジェクト第1弾は、子宮頚がんの闘病を続ける女優の古村比呂さんをパートナーに迎えています。
古村さん自身がリンパ浮腫の症状になりむくみやすくなった経験を踏まえ、商品はリンパの流れを滞らせないよう鼠蹊部(そけいぶ)をフレアのデザインにするなど、こだわりの設計になっています。
また、ふんわりとした肌触りのスマイルコットンを使った「フリープ」も、インクルーシブデザインと言えるブランド。縫い目をすべて表に出したり、タグを外側に付けたりなど、肌触りに徹底してこだわり、乳がんの手術を受けた方やアトピーの方のさまざまな意見がデザインに取り入れられています。
これらは体調や体の状態によって生じる下着に対する制限を、素材やデザインを工夫することでなくした例。そして、その工夫が結果的に誰もが心地よかったり便利だと感じたりする下着となり、より多くの人に愛されるインクルーシブなアイテムになった例でもあります。
「ダイバーシティ」「インクルージョン」と聞くと、最近注目されている特別な言葉・出来事のように感じますが、こうして下着の例を見ると、実はすでに身近に起きて根付いていることだと分かります。それは、下着は毎日身に着けるもの、直接肌に触れるものであるため、より日常生活や心の内側と密接に結び付いているからではないでしょうか。誰もがそれぞれに心地よい下着、自らの体を愛せる下着と出合えることを願います。
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情報元リンク: ウートピ
ランジェリーの新潮流「ダイバーシティ&インクルージョン」って知ってる?