人と長時間いると疲れる、相手の顔色を気にして言いたいことを飲み込んでしまう、近くに不機嫌な人がいると怖い、皆は気にしないことが気になって仕方がないーーそんなしんどさを抱えている人は、敏感すぎるHSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)の気質を持っているのかも。
5人に1人の割合でいると言われているHSP。その特徴を理解し、自分の本音と向き合うことで、明日からの生活がちょっと楽になるかもしれません。
HSPの特徴について、また、敏感で繊細な人が気持ちを楽に生きられるヒントについて、心理カウンセラーで自身もHSPの坂本純子さんに3回にわたってお話を聞きました。
最終回のテーマは「HSPを周りに伝えたほうがいい?」です。
【第1回】他人とずっと一緒にいると疲れる…敏感すぎる気質「HSP」って知ってる?
【第2回】HSPの対処法と向いている職業は?
HSPを伝えるのは気が引けるけど…
——HSPの気質があるとはっきり分かっている場合は、職場に伝えておいたほうがいいでしょうか? 上司や同僚に説明しても、ただの甘えやわがままだと思われそう……。
坂本純子さん(以下、坂本):知らせることで楽に仕事に向かえそうであれば知らせたほうがいいですね。医師が書いたHSPに関する本や、関連記事のコピーなどを上司に渡すといいかもしれません。強い臭いや光が苦手だったり、音に敏感に反応したりするので、職場環境にそういう居心地の悪さの原因があれば、「今の環境がしんどいので席を移動させてもらえませんか」などと伝えることも必要だと思います。
——私もチェックしてみるとHSPの気質があるのですが、決して病気ではないし、「私HSPだから……」とアピールするのも“生きづらさ自慢”のようで気が引けます。
坂本:確かに「私HSPだから」とHSPに逃げ込んでいる人も中にはいます。しんどくても、自分の本音に意識を向けながら、「本当はこうしたい」という気持ちに沿って行動できるといいですよね。
世間の「普通」に合わせようと頑張りすぎないで
——前回のお話にもあったように「本当はこうしたい」を言語化して、周りに「こうしてほしい」をきちんと伝えることが必要なのですね。
HSPの人は、世の中の普通とか、一般的な価値感や常識に合わせようと頑張る人が多いんです。子供の頃から敏感で、「なんだか私、周りの子と感じ方が違う」と思ってきた人が多いため、「みんなと違うから私はダメな人間だ」と思いがち。
だけど、世の中の普通と自分の価値観が違ってもいい。敏感にいろんなものをキャッチする時点ですでに人より感じ取るものが多いので、「世の中の普通」というよく分からない価値観と合わせようとするとしんどいのです。
例えば「親には感謝しなければいけない」という美徳のような価値観がありますが、小さい頃からいつも怒られていたら感謝しようと思ってもなかなかできない。だから、感謝できない自分を認めてあげることも大事なんですよね。
嫌いな人は嫌いと認めてOK
——HSPに限らず、親と不仲でも「分かり合わなければいけない」と思うからしんどいという人は確かに多いですね。
坂本:「いい娘」を演じているのかもしれないけど、「本当は帰省したくない」とか「母の日にプレゼントを贈りたくない」とか、「本音はどうなの?」と自分に聞いてあげるんです。
HSPの人というのは、職場に苦手な人がいたり、誰かを嫌いだと思うことにも罪悪感を覚えがちなんですよ。でも、「嫌い」ということを認めて、「必要以上は関わらない」と決めてしまうと、そこで腹が据わって楽に関われるようになる。好きになろうとか、好かれる努力をしようとするから、人間関係がこんがらがる。だから、嫌いな人は嫌いと認めてOKです。自分の本音を分かってあげてくださいね。
——そうなのですね、なんだか気が楽になりました。
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情報元リンク: ウートピ
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