最近、目にすることが多くなったメイクした男性タレントの広告やグラビア。お笑いコンビ「EXIT」のりんたろー。さんがネイルを楽しんでいる様子も話題になっています。
1970年代、「マンダム」がチャールズ・ブロンソンを起用した広告と比べるのはさすがに古過ぎるかもしれませんが、マッチョな男性像をアピールした昭和の時代から半世紀がたち、メンズ化粧品は大きく様変わりしました。
先日、吉沢亮さんが雑誌『NYLON』で披露したメイク姿が話題になりましたが、その際にまとっていたのが「FIVEISM×THREE(ファイブイズム バイ スリー)」。現在のメンズブランドをけん引する存在である「FIVEISM×THREE」でマーケティングを担当している坂口優子(さかぐち・ゆうこ)さんに、令和時代のメンズコスメ事情について伺いました。
きっかけはリモートワーク? コロナ禍ならではの事情も
「ブランドがデビューした2年前と比べ、男性のスキンケアはもちろんのこと、メイクもかなりポジティブに捉えられるようになりました。若年層にとってスキンケアは日常化し、ここ1年でBBクリームのような日焼け止めファンデーションも定着しました。大人世代にも取り入れる方が増えていますし、もはや男性のスキンケア&メイクは身だしなみを整える感覚であり、自分らしさを演出するツールになっています」と坂口さん。
コンシーラーで気になる部分をカバーし、ナチュラルな仕上がりのファンデーションで清潔感を保ち、アイブロウで眉を整えて好印象に。そんな一連のメイクの流れは、もはや特別なものではないそう。「FIVEISM × THREE」は価格もそれなりにするため、顧客には美意識の高い方が多いものの、ファッション関係や美容関係者だけではなく、普段はスーツ着用のビジネスマンも多く職種に偏りがないといいます。
また、「昨今、男性のスキンケアやメイクが浸透した理由の一つにリモートワークが関係している」という指摘も。男性が鏡を見る機会、つまり自分の顔を客観的に見る機会はこれまでは歯磨きや髭そりのときらいというのが一般的でしたが、コロナ禍による在宅勤務でオンラインミーティングでパソコンに映る自分の顔を見る機会が増え、お手入れを始めたという大人の男性も少なくないようです。これもニューノーマル時代の新しい動向といえそうです。
実は女性ユーザーも多い「ジェンダーフルイド」ブランド
ネイルカラーやベースメイクは女性ユーザーも多く、愛用者はジェンダーフルイド「FIVEISM × THREE」はネイルポリッシュも人気で、今年に入り売り上げは去年の倍以上に。男性は、休日サンダルを履くときにペディキュアしたり、手の爪の一部分に塗布したりして楽しんでいる人が多いそうです。
一方で、「THREE」ではなくあえて「FIVEISM × THREE」を選ぶ女性ユーザーも増加。ダークカラーを中心とする「FIVEISM × THREE」がマニッシュなイメージを好む女性に人気です。
実は、同ブランド人気ナンバーワンのファンデーション「ネイキッドコンプレクション バー」も「ナチュラルな仕上がりが好き」「皮脂崩れしにくい」などの理由から女性からの支持が高いといいます。男性のベースメイクが広がってはいるものの、いかにも「ファンデーションを塗っている感」が出るのは避けたいという男性の心理に応えた商品ですが、肌ツヤがよく見える使用感が女性からの支持を集めています。
そもそも「FIVEISM × THREE」は男性起点で商品開発されていますが「メンズブランドではなく、ジェンダーフルイド*ブランド」と坂口さん。「ジェンダーの壁を越えた、それぞれの個性を表現するブランドでありたい」と力を込めました。
ファッションの世界では「ジェンダーフリー」という言葉がずいぶん浸透してきましたが、ビューティの世界でもその流れが加速中。化粧品は男らしさ女らしさではなく「自分らしさ」を表現するツールとなりつつある今、あらためて「自分らしさ」とは何かを考えるときなのかもしれませんね。
*ジェンダーフルイド(gender fluid):女性や男性と固定的に定義するのではなく、その日の気分によって移り変わる性のありようを指す。
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