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「誰かの妻になること」が王道だった時代の「生きづらさ」とは?【『風、薫る』制作統括に聞く】

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俳優の見上愛さんと上坂樹里さんがダブル主演を務める連続テレビ小説『風、薫る』(NHK総合、月~土曜午前8時ほか)が、3月30日よりスタートした。

文明開化が進む明治を舞台に、看護の黎明期を生きる2人の女性の歩みを描く本作。制作統括を務める松園武大さんが3月に行われた完成試写会見に登壇し、主人公2人が抱える「生きづらさ」や血縁を超えた“バディ”という関係性を軸に、本作に込めた思いを語った。

※本記事は3月に開催された『風、薫る』第1週完成試写会見の模様をもとにウートピ編集部が編集したものです。

「誰かの妻になること」が王道だった時代の「生きづらさ」

──番組紹介に、「主人公はそれぞれに生きづらさを抱えた二人の女性。当時まだ知られていなかった看護の世界に飛び込み、傷ついた人々を守るために奔走し、時に強き者と戦う──」とあります。「生きづらさ」というのはある意味、とても現代的なテーマだと思うのですが。

松園武大・制作統括(以下、松園):令和の時代にある「生きづらさ」と、明治時代を生きる「生きづらさ」は、もしかしたら少し種類が違うのかもしれません。明治時代について言えば、一つの社会的な常識があって、この時代、はっきり言ってしまうと、女性にとっての王道は「誰かの妻になること」、そして「誰かの妻として生きていくこと」だったんです。

ほぼそれ以外の生き方は、王道としては存在しない。そういう時代の中で、その王道から外れてしまった人たちが、どうやって生きていけばいいのか。自分の意思でそうした人もいたかもしれませんし、思いがけずその道から外れてしまった人もいたかもしれませんが、いずれにしても、とても難しい時代だったと思います。このドラマでは、そうしたところから彼女たちが看護の道へたどり着いていく姿を描いています。

一方で、今の時代にも、少し通じるところがあるのではないかと思っています。何か失敗してしまったり、ミスをしてしまったりしたときに感じる、ある種の閉塞感というか、「一度ミスをしたら終わりだ」と思ってしまうような感覚です。ただ、そういう思いがけない不条理に直面したとき、自分一人では乗り越えられなくても、誰かが手を取ってくれる、手を携えてくれることで、一歩先に進めるかもしれない。やはり、そういうものを乗り越えていくとき、人を支えるのは人であってほしいという思いがあるんです。

この二人を通して、そういったことを世の中に届けたり、いっしょに考えたりするきっかけにできたりしたらいいな、という思いは、根底にあります。

“ホームドラマ”の朝ドラが問いかける「家族とは何か」

──見上愛さん演じる一ノ瀬りんと、上坂樹里さん演じる大家直美という、育ちも考え方もやり方も異なる2人が出会い、最強のバディとなっていくドラマとのことですが、家族ではない2人が主人公という点で、「他者」との出会いという部分も意識されているのでしょうか?

松園:朝ドラは、基本的にはホームドラマだと言われています。もちろん家庭のことも描きますが、「家族とは何か」ということは常にあるテーマだと思っています。血がつながっていないと家族とは言えないのか、という問いですね。

世の中には、そうした関係に恵まれなかったり、家族がいなかったり、亡くしてしまったり、あるいはうまくいっていなかったりする人もたくさんいます。そういう状況も含めて、改めて見つめ直してみたいという思いがありました。

その意味で、凛にとっての直美、直美にとっての凛という関係性は、このドラマの中で大切に描きたい部分です。それが、ご指摘のあった「他者との出会い」や、他者とどう向き合っていくか、というテーマにもつながっていると思います。

ただ、人とともに生きていくというのは、決して簡単なことではありません。むしろ難しいことのほうが多いと思います。それでも、その先にはとても尊い何かがあるのではないかと、僕自身は感じています。

『風、薫る』場面写真

(C)NHK

コロナ禍を経験したからこそ想像できるもの

──このドラマを作ろうと思った最初の問題意識について教えてください。また、現時点でどの程度まで具現化できているのか、振り返って感じていることがあればお聞かせください。

松園:まずこの企画は、看護の黎明期を生きた2人の物語を描きたいという思いからスタートしました。コロナ禍を経験した今と、それ以前とでは、この物語の受け取り方は大きく変わっているのではないかと思います。

明治時代の医学的な資料を見ると、例えばコレラが流行した年や、どこで何人が亡くなったかといった数字は残っています。ただ、そのとき実際に何が起きていたのか、そこにどんな人々の感情や出来事があったのかという部分については、想像するしかありません。そうした部分を描く想像力は、まさに今の時代を生きる私たちだからこそ持ち得るものでもあり、それをドラマの中に組み込めているのではないかと感じています。

一方で、制作側として常に考えているのは、「何が正しくて、何が間違っているのか」という問いが、決して単純ではないということです。世の中には絶対的な正義や悪が存在する場面もありますが、実際にはそうではないケースのほうが圧倒的に多い。コロナ禍を振り返ったときにも、「本当にあれでよかったのか」と感じるような問いが、誰の中にも残っているのではないでしょうか。

このドラマを通して、第1週をご覧いただくなかで、そうした記憶や問題意識をもう一度思い起こしていただけたらと考えています。

また、この先の描き方についても、「これが正しい」「これが間違っている」といった明確な判断軸で物語を描こうとはしていません。これは、現在の医療や看護の現場で働く方々にも通じることだと思いますが、現場では簡単に答えを出せない局面が数多くあります。

そうしたなかで大切なのは、目の前の状況に真摯に向き合い、考え続けることだと思っています。その姿勢を、私たち制作者自身も見失わずに、このドラマの中で描き続けていきたいと考えています。

『風、薫る』場面写真

(C)NHK

主人公の幼少期を描かない理由

──朝ドラでは主人公の幼少期が描かれることが多いですが、今回は主人公2人の幼少期は描かれません。その理由についてお聞かせください

松園:これに関しては、もうはっきりとした理由が実は僕の中であって、あの2人がどこで出会うかということです。

りんと直美が出会うことで、物語の大きく歯車が動き出します。それは、養成所に入ったかどうかといった段階よりも前の話で、このドラマでは、それ以前に2人が出会う設定にしています。お互いの存在があるからこそ、それぞれがその後の選択をしていく――そうした影響が、すでにその時点から生まれているんです。

そういう意味で、この作品はりんと直美という2人の女性の人生、いわば半生を描く物語だと考えています。だからこそ、子ども時代はあえて描かず、大人になった2人から描き始めて、なるべく早く2人の関係性に入っていきたい、という意図がありました。

『風、薫る』場面写真

(C)NHK

時代から取り残された人々を描いた『ばけばけ』との共通点

──偶然だとは思うのですが、(前クールの)『ばけばけ』と設定面で共通する部分があるように感じました。主人公が武家の娘であることや、物語が国際的な広がりを持っていく点などです。『ばけばけ』は序盤、急激な時代の変化についていけない人々の戸惑いを丁寧に描くところから始まりましたが、『風、薫る』では、同じ時代を描きながら、特に序盤のどのような点に注目して見てほしいとお考えでしょうか。

松園:おっしゃる通り、『ばけばけ』とほぼ同じ時代を描いています。第1週の段階では、まだ見えにくい部分もあるかもしれませんが、この明治初期、10年前後という時代は、新しい考え方や文化が次々と入ってきて、社会が大きく動いていく、まさに激動の時代です。

そうしたなかで、その変化についていけない人もいれば、その変化があったからこそ生きる道を見つけられた人もいる。さまざまな立場の人がいる時代だと思っています。

『風、薫る』では、その両面を描きつつも、どちらかというと、キリスト教の伝来や、西洋式の医学・看護が日本に広がっていくなかで、自分たちの生きる道を見つけ、決断していく人々の姿に軸足を置いています。一方で、そうした大きな時代のうねりの中で取り残されてしまう人や、変化についていけない人たちの視点も、あわせて描いていきたいと考えています。

『風、薫る』場面写真

(C)NHK

『風、薫る』とは?

第114作となる本作は、田中ひかるさんの『明治のナイチンゲール 大関和物語』(中央公論新社)を原案に、文明開化が急速に進む明治時代を舞台に描かれる。大関和(おおぜき・ちか)さんと鈴木雅(すずき・まさ)さんという2人のトレインドナース(正規に訓練された看護師)をモチーフに、考え方もやり方もまったく異なる2人の女性が出会い、それぞれに「生きづらさ」を抱えながら看護の道へと進んでいく姿を描くバディドラマ。

脚本は『あなたのことはそれほど』『初めて恋をした日に読む話』『病室で念仏を唱えないでください』などで知られる吉澤智子さんが担当。語りは謎の占い師・真風役として本編にも出演する研ナオコさんが務め、主題歌はMrs. GREEN APPLEの「風と町」が作品を彩る。

情報元リンク: ウートピ
「誰かの妻になること」が王道だった時代の「生きづらさ」とは?【『風、薫る』制作統括に聞く】

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