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「何の会社?大丈夫?」と周囲に言われた転職 30代のキャリアチェンジ

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一般社団法人渋谷未来デザインの事務局次長、長田新子(おさだ しんこ)さんは、AT&T→ノキア→レッドブルと外資系企業でキャリアを積んだのちに、渋谷区のプロジェクトに参画したという異色のキャリアの持ち主。

大学を卒業後、あえて「新卒で就職活動をしない」という選択をした彼女は、常に「人に必要とされている場所で頑張る」という姿勢を貫いてきたと言います。そんな彼女にとって30代のキャリアチェンジの意味とは?

第1回 マーケ畑でレッドブルから渋谷区へ 「必要とされる方向」に流されてみた

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マーケティングから広報部へ「必要とされるなら、行く」

——前回は、キャリアを意識していなかった20代のお話をうかがいましたが、その後「AT&T」から「ノキア」へ転職した理由を教えてください。

長田新子さん(以下、長田): AT&Tでプロダクトマーケティングを任されるようになってから、マーケティングのおもしろさに目覚めて仕事が楽しくなっていました。

そんなときに、同僚が「これから携帯電話のブームがくる。フィンランドの通信会社が進めているプロジェクトにこんなおもしろい話があって、マーケティングを任せられる人を探しているんだけど、どう?」と紹介されたのが「ノキア」でした。

——ノキアへの転職は、まさにキャリアのステップアップだったのですね。

長田:結果的にはそうなりましたが、最初はせっかくいただいたお話だし、単純におもしろそうというだけでした。ところが1年半後、そのプロジェクトは諸事情でなくなってしまったんです。次に配属されたのが広報部。たまたま広報部のトップが前職(AT&T)の先輩だったこともあって、「広報部に来たら?」と誘われたので「じゃあ行きます!」と。

——そういった岐路に立たされると、多くの人はこれまで培ってきたマーケティングに固執してしまいがちですが、長田さんはとてもフレキシブルですよね。

長田:新しいことを学ぶ、知るというのは楽しいし、好きなんだと思います。それに、まだこの時期は「必要とされている場所で頑張ろう」という気持ちで仕事をしていました。

とはいえ、広報部の仕事は結構大変でした。半年後に広報部に引っ張ってくれた先輩が退社してしまい、いきなり部長になってしまったり、海外のCEOやお堅い新聞社の対応など、責任重大な仕事を実地で学んだり、とても濃い6年間をおくりました。

今思えばマーケティングの仕事に固執することなく広報部へ移ったことは、私にとって大きな転換期になったと思っています。求められるままに流されてきた結果ではあるけれど、一旦マーケティングを離れて広報部に移ったことが、その後の仕事に幅をもたせてくれました。

渋谷未来デザインのロゴ入りのスニーカー。長田さんのお気に入りです。

渋谷未来デザインのロゴ入りスニーカー。長田さんのお気に入りです。

30代半ば、目の前にあった3つの選択肢

——がむしゃらにではなく自然な流れに乗ることが、逆にキャリアアップにつながるとは、おもしろいですよね。そんな長田さんも30代半ばを過ぎた頃からキャリアについて悩みはじめたそうですね。

長田:なんとなく「このままでいいのかな、今後どうしよう」と考えるようになりました。それまでは人から請われた方向に進んできたけれど、はじめて進路について能動的にいろいろな人に相談をするようになったんです。

——そんなときに、レッドブルのお話が舞い込んできたと。

長田:当時、レッドブルは日本での販売活動を立ち上げたばかりだったのですが、「ブランドをつくるためのコミュニケーション、メディアとのコミュニケーション、人とのコミュニケーション」ができる、総合的なディレクターを探していると。

私の中には、PR的なコミュニケーションの道をそのまま進むのか、もう一度プロダクトマーケティングの世界に戻るのか、まったく違うことをするのか、3つの選択肢がありました。レッドブルはPRでもありマーケティングでもあったけれど、異なる業界でスキルを活かすことは難しいかなという思いもありました。

——それでも転職した理由はどこにあったのですか?

長田:転職の決め手になった理由はいくつかあります。仕事内容に興味があったのはもちろんですが、それ以上に環境や会社の考え方が大きかったですね。

ひとつは、日本における会社の立ち上げ段階だったので、みんながゼロから一緒にスタートできること。すでにできあがっているチームに加わるよりも、自分の価値を出しやすい環境に魅力を感じました。

もうひとつは、レッドブルが単に飲料を売る企業ではなく、人との関係づくりに重きをおいていたこと。モータースポーツやストリートスポーツなど、ブランドづくりのためのアセットが豊富で、私自身スポーツが好きだったこともありますが、新しいカルチャーと関われるおもしろさも感じました。

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転職への周囲の反応は「なんの会社?大丈夫?」

——長田さんのように30代中頃から今後について悩み出す女性は多いと思いますが、失敗したらどうしようと不安のほうがまさってしまい踏み出せない人は少なくありません。

長田:もちろん私も悩みました。当時、レッドブルなんて誰も知りませんでしたからね。知人にも「なんの会社? 大丈夫?」と心配されました。でも、そもそも楽観的な性格なんでしょうね。失敗してもなんとかなるだろうと(笑)。

金銭的なことを含め、リスクばかりを考えてその場にとどまるより、いろいろな経験をしたいという気持ちのほうが強いのかもしれません。それに、踏み出す勇気というのも、過去の経験や自信がくれるものだとも思います。

——受動的か能動的かの違いはあっても、長田さんにとって「経験してきたこと」「新たな経験」は次のステップへの原動力や選択基準になるのですね。

長田:そうかもしれません。レッドブルを選んだ理由として「自分の価値を出しやすい環境だった」と言いましたが、これまでの経験を活かして、今度は自分が何かを与えられるようになりたいという思いも生まれはじめていたのだと思います。

——ありがとうございました。次回の最終回は、多くの経験から見つけた、長田さん流のキャリアに対する「ものさし=判断基準」についてです。

(塚本佳子)

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情報元リンク: ウートピ
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